別当宣(読み)ベットウセン

デジタル大辞泉 「別当宣」の意味・読み・例文・類語

べっとう‐せん〔ベツタウ‐〕【別当宣】

検非違使別当が出す公文書勅宣に準じるものとされた。

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精選版 日本国語大辞典 「別当宣」の意味・読み・例文・類語

べっとう‐せんベッタウ‥【別当宣】

  1. 〘 名詞 〙 古文書様式一つ。平安時代以降、検非違使の別当の宣をうけたまわり、これを伝達するために出す奉書形式の文書。普通、本文中に「被別当宣」のように「別当宣」の語が書かれる。当初別当宣は勅に準ずる権威を持つ文書とされていた。別当庁宣。〔政事要略(1002頃)〕
    1. [初出の実例]「御謀反のきこえ候によって、宮人共別当宣を承はり、御むかへにまゐって候」(出典:平家物語(13C前)四)

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改訂新版 世界大百科事典 「別当宣」の意味・わかりやすい解説

別当宣 (べっとうせん)

古文書の一形式。検非違使(けびいし)別当宣の略。検非違使は平安時代初期の弘仁年間(810-24)に設置された令外官(りようげのかん)で,その長官検非違使別当である。主として京都の治安維持を職務としたが,のち弾正台,刑部省,京職の権限を吸収して訴訟,裁判を行い,やがて諸国にも設置された。武士台頭,守護・地頭の設置によって諸国検非違使は衰退するが,京都では南北朝期まで警察,民政まで掌握していた。別当宣は,別当の命を検非違使庁の官人が奉じて発給した文書で,庁宣とも言い,勅に準ぜられた。平安時代には〈被別当宣偁〉で始まり,〈者(てへり)〉で終わる。これに日付,奉行の官人の位署を付け加えた宣旨形式のものであったが,鎌倉以降は補任関係のものを除いて書札様の別当宣が用いられた。書札様の別当宣には,その宛所によって別当みずからの名において発給する直状(じきじよう)のものと,別当の家司(けいし)が奉ずる奉書形式の2様式がある。しかしこれは,書札様文書特有の書札礼からくる様式変化の一つにすぎない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「別当宣」の意味・わかりやすい解説

別当宣
べっとうせん

検非違使(けびいし)別当宣の略。検非違使別当の宣旨(せんじ)のこと。別当の口頭命令被官(ひかん)の使庁官人(しちょうかんじん)が奉(うけたまわ)って書く宣旨様式の文書。主として平安時代に使用され、初見は『政事要略』の870年(貞観12)のものといわれる。天皇の命令である勅宣(ちょくせん)に準ぜられ、背く者は違勅の科(とが)をもって罰せられた。中世では、多くの場合、使別当(しのべっとう)の家司(けいし)または奉行(ぶぎょう)の使庁官人が奉ずる書札(奉書)の形式をとり、主として京都民政裁判の問状(といじょう)や裁許の文書として使用された。

富田正弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「別当宣」の意味・わかりやすい解説

別当宣
べっとうせん

古文書の一様式。検非違使 (けびいし) の別当の命を被官の者が奉って出す奉書。初見は貞観 12 (870) 年。勅宣に準じるため,そむけば違勅とされた。

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世界大百科事典(旧版)内の別当宣の言及

【別当】より

…(4)朝廷諸機関 〈検非違使(けびいし)別当〉は834年(承和1)補任の文屋秋津を初代とし,衛門督か兵衛督を兼帯する中納言か参議が宣旨で補任された。使別当は使庁の全職務を指揮監督し,別当宣は勅に準ずる権威を有した。〈蔵人所(くろうどどころ)別当〉は蔵人所の拡充期にあたる897年補任の藤原時平を初代とし,以後一上(いちのかみ)(首席公卿)が新帝受禅ののち補任される慣例となった。…

※「別当宣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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