古文書の一形式。検非違使(けびいし)別当宣の略。検非違使は平安時代初期の弘仁年間(810-24)に設置された令外官(りようげのかん)で,その長官が検非違使別当である。主として京都の治安維持を職務としたが,のち弾正台,刑部省,京職の権限を吸収して訴訟,裁判を行い,やがて諸国にも設置された。武士の台頭,守護・地頭の設置によって諸国検非違使は衰退するが,京都では南北朝期まで警察,民政まで掌握していた。別当宣は,別当の命を検非違使庁の官人が奉じて発給した文書で,庁宣とも言い,勅に準ぜられた。平安時代には〈被別当宣偁〉で始まり,〈者(てへり)〉で終わる。これに日付,奉行の官人の位署を付け加えた宣旨形式のものであったが,鎌倉以降は補任関係のものを除いて書札様の別当宣が用いられた。書札様の別当宣には,その宛所によって別当みずからの名において発給する直状(じきじよう)のものと,別当の家司(けいし)が奉ずる奉書形式の2様式がある。しかしこれは,書札様文書特有の書札礼からくる様式変化の一つにすぎない。
執筆者:富田 正弘
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…(4)朝廷諸機関 〈検非違使(けびいし)別当〉は834年(承和1)補任の文屋秋津を初代とし,衛門督か兵衛督を兼帯する中納言か参議が宣旨で補任された。使別当は使庁の全職務を指揮監督し,別当宣は勅に準ずる権威を有した。〈蔵人所(くろうどどころ)別当〉は蔵人所の拡充期にあたる897年補任の藤原時平を初代とし,以後一上(いちのかみ)(首席公卿)が新帝受禅ののち補任される慣例となった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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