(読み)サツ

デジタル大辞泉 「刹」の意味・読み・例文・類語

さつ【刹】[漢字項目]

常用漢字] [音]サツ(漢) セツ(慣)
寺。寺院。「古刹仏刹名刹
難読刹那せつな羅刹らせつ

せつ【刹】

《〈梵〉yaṣṭi の音写。棒・旗竿の意》仏塔。寺院。仏堂の前に宝珠火炎形をつけた竿を立て寺の標幟ひょうじとしたところからいう。
《〈梵〉kṣetraの音写》国土仏国土

せつ【刹/殺】[漢字項目]

〈刹〉⇒さつ
〈殺〉⇒さつ

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精選版 日本国語大辞典 「刹」の意味・読み・例文・類語

せつ【刹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏骨を納める塔。仏塔。〔王巾‐頭陀寺碑〕
  3. 仏塔の中心となる柱。塔の心柱(しんばしら)。さつ。
    1. [初出の実例]「仏の舎利を以て法興寺の刹(セツ)の柱(はしら)の礎(つみし)の中に置く」(出典:日本書紀(720)推古元年正月一六日(岩崎本室町時代訓))
  4. 寺のこと。〔庾信‐奉州天水郡麦積崖仏龕銘序〕
  5. せつど(刹土)」の略。
    1. [初出の実例]「神通のちからを具足し、ひろく智の方便を修して、十方のもろもろの国土に、刹(セツ)(〈注〉クニ)としてみを現ぜずといふことなし」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)八)
    2. [その他の文献]〔無量寿経‐下〕

さつ【刹・檫】

  1. 〘 名詞 〙 仏塔の中心となる柱。刹(せつ)。心柱(しんばしら)。〔十巻本和名抄(934頃)〕

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普及版 字通 「刹」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(異体字)
9画

[字音] セツ・サツ
[字訓] はたばしら・てら

[説文解字]

[字形] 会意
(さい)+刀。(殺)・の字の従うところで、(さい)()の初文。祟(すい)もその形に近く、いずれも呪霊をもつ獣を殺して祓う意で、もとと同義の字であったと思われる。〔玉〕に「なり」とあり、〔説文新附〕四下にもその訓を収める。のち寺の意に用いるのは、梵語のketraの音訳。旗柱の意に用いるのも、沙門が一法を得れば、旙(はた)を建ててそのことを標したことからの転義。また塔上にも舎利ある表示としてこれを建てた。ほとんど仏教訳語にのみ用いる。

[訓義]
1. はたばしら、てら、塔。
2. 刹那は、一瞬のとき。

[古辞書の訓]
名義抄 クニ 〔立〕刹 ハシラ・クニ

[熟語]
刹竿・刹鬼・刹那刹幡
[下接語]
巨刹・金刹・古刹・高刹・寺刹・浄刹・禅刹僧刹・大刹・表刹・仏刹・梵刹・名刹・羅刹・立刹・霊刹・列刹

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「刹」の意味・わかりやすい解説


さつ

仏教用語。 (1) lakṣatā 標幟しるしの意。旗竿,あるいは塔の心柱をいう。寺院では仏堂の前に標幟として旗竿を立てる風があったので,寺刹,梵刹,金刹,名刹などの語がある。 (2) 刹を「せつ」と読む場合は,サンスクリット語 kṣetraの音略。国,土の意。仏刹 (仏国土) などの語がある。

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