家庭医学館 「膀胱頸部硬化症」の解説
ぼうこうけいぶこうかしょう【膀胱頸部硬化症 Bladder Neck Contracture】
膀胱と尿道(にょうどう)の境目にある膀胱頸部というところが開きにくくなる病気とされています。しかし、どうしてそうなるのかなどは、いまだによくわかっていません。
膀胱の出口が狭くなるため、排尿(はいにょう)障害がおもな症状ですが、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、前立腺(ぜんりつせん)がん、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)など、原因が明らかな病気のどれでもないというときに、膀胱頸部硬化症と診断されます。
膀胱頸部硬化症では、膀胱頸部の組織を調べても、なんら特徴的変化は見つかりません。
[症状]
排尿困難、残尿感(ざんにょうかん)、尿線が細い、尿意が頻繁(ひんぱん)など、症状は前立腺肥大症によく似ていて、症状だけからみきわめることはできません。
ほとんど男性にみられますが、ときに女性でも、慢性膀胱頸部炎などのため、膀胱頸部に慢性の刺激が加わり、同様の症状がみられることがあります。
[治療]
保存的治療としては、膀胱頸部の緊張をとる目的で、交感神経遮断薬(しゃだんやく)(α(アルファ)遮断薬)を使用する方法、膀胱頸部を広げることのできるチューブ状の器具を用いる尿道ブジー療法などがあります。
手術療法としては、尿道から内視鏡を挿入して、膀胱頸部を切開または切除する方法(経尿道的膀胱頸部切開・切除術)があります。