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剥製 ハクセイ

デジタル大辞泉の解説

はく‐せい【剥製】

鳥獣の肉や内臓を取り除き綿・麻などを詰めて、防虫・防腐処理をし、生きているときの外形を保つように作ること。また、そのもの。
[補説]・内臓などを取って表皮だけにしたものに人造の骨・眼球などを入れて生きているときの姿にした展示・鑑賞用のものを「本」という。また、骨・内臓などを取って表皮だけにし、死んだときの形を保つようにして研究用に保存したものを「仮剥製」という。

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百科事典マイペディアの解説

剥製【はくせい】

動物標本の一種。骨格,筋肉,内臓などを取り除いてほとんど皮だけを残し,ミョウバンなどで皮を処理したあと,内部に体と同形の芯(しん)をつめて作る。主として哺乳(ほにゅう)類,鳥類の保存に用いられるが,大型の爬虫(はちゅう)類,両生類,魚類,甲殻類でも作られる。
→関連項目標本(生物)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

剥製
はくせい

動物標本の一種で、主として脊椎(せきつい)動物がつくられている。一般的には動物の皮をはぎ、防腐・防虫の薬剤処理をしたうえで、各種の芯(しん)を入れて外形を復原し、乾燥仕上げをしたものである。その方法を剥製法といい、できあがったものを剥製または剥製標本とよんでいる。本来の目的は学校教育、社会教育(博物館など)、あるいは学者の研究用であるが、近年は一般社会や家庭の装飾、鑑賞用として普及するようになった。ヨーロッパ、アメリカでは遠い昔から製作方法が研究され発達していたが、日本では1870年代の終わり(明治12~13)ごろ外国の技術を導入して、専門に製作する人たちも現れるようになったようである。第二次世界大戦前に学校の理科室や博物館でみられた鳥獣、ワニ、カメなどの剥製は、専業の剥製師によってつくられたものである。[橋本太郎]

剥製法

剥製法には大別すると仮剥製と本剥製がある。仮剥製は、研究資料として保存と利用を目的としたもので、専門分野の官庁、研究所、学者の手元に容器に入れて保管されていて、一般の人々が見る機会は少ない。製作の方法は本剥製に似ているが、外形は死んでいるときの形で、内部には簡単な芯と綿を入れ、体積を小さく、軽く、保管と利用、運搬に便利なようにつくられ、長年月の保存に耐える。本剥製に改作も可能であるが、とくに必要なときだけである。これに対して本剥製は、展示用、鑑賞用として一般にみられるもので、ケースに入れて防虫しない限り消耗品的なものである。製作の方法は、動物の種や体の大小により、材料となる動物の取扱いも製作の工程も異なり、難易の度もさまざまである。仕事はかなり複雑で高度の技術と修練を要するものもあり、一般の人々は剥製師に依頼することが多い。
 本剥製の製作方法について代表的な鳥類を例にとり概略を説明すると次のようである。まず鳥の体を腹面を上にして置き、中央の骨に沿って縦一線に皮を切り、衣類を脱がせるように皮をはぎ胴を取り出す。ついで頭頸(とうけい)、両翼脚の皮を裏返すようにはぎ、頭骨、翼脚尾の骨だけを残して筋肉、脳、眼球などいっさいを取り去る。皮の内面と骨には薬を塗る。頸(くび)の芯は針金に綿を巻き頭骨につなぎ、綿で肉づけをし、また粘土で眼球をつくる。胴の芯は実物の形に木毛(もくげ)(鉋屑(かんなくず)を細くしたようなもので、詰め物に用いる)を糸で巻いてつくる。翼と脚は骨に針金を添わせてくくり綿を巻く。各部の皮を元に戻し、胴の芯に各部の針金を通して固定し形を整える。最後に切り口の皮を縫い合わせて姿勢をつくる。黒目はガラスの義眼を入れる。これを要約すると、皮の内部に実物と同形の模型を組み立てるわけである。この方法はほかに爬虫(はちゅう)類や中形哺乳(ほにゅう)類まで応用される。装飾用は自由にはでな形をつくるが、生態標本は種の特徴を正確につくる必要から専門の知識と高度の技術が求められるもっともむずかしい仕事である。一般家庭で剥製を長く保つには、ケースに入れるか、明るく乾燥した部屋に置き、ときどき鳥の羽でほこりを払って手入れするとよい。[橋本太郎]
『坂本喜一著『坂本式動物剥製及標本製作法』(1931・平凡社) ▽片岡新助著『剥製の手ほどき』(1958・日本博物館協会) ▽本田晋著『小鳥の剥製の作り方』(1975・ニュー・サイエンス社) ▽橋本太郎著『動物剥製の手引き』(1959・北隆館) ▽橋本太郎著『坂本式動物剥製法』(1977・北隆館)』

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