劣後ローン(読み)れつごろーん(英語表記)subordinated loan

共同通信ニュース用語解説 「劣後ローン」の解説

劣後ローン

通常の貸し出しよりも高い金利収入を得られる代わりに、返済順位が低い貸出債権。融資先が破綻した場合は、負債全て支払った後に資産が残っていれば返済される。株式に近い性質を持ち、借り手の企業にとっては優先株発行などと同様に財務基盤の強化につながる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「劣後ローン」の意味・わかりやすい解説

劣後ローン
れつごろーん
subordinated loan

元利金返済の優先順位が一般債権より低い無担保の貸出債権。借り手が経営破綻(はたん)した際は、すべての債権者への弁済を終えてなお残額がある場合に返済が行われる。貸し手にとっては、貸し倒れリスクが大きい反面、金利が高いというメリットがある。貸し手を保護するためには返済の順位付けを行うのは望ましくないとの考え方もあるが、日本では1990年(平成2)6月に導入が認められた。事実上、破綻時に返済が不要で株主資本と似た性格があり、金融機関は会計処理上、劣後ローンによる調達額を自己資本に一部組み入れることが認められている。そのため1990年代から2000年代前半にかけて大手銀行が自己資本比率の引き上げに多用した。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「劣後ローン」の意味・わかりやすい解説

劣後ローン
れつごローン
subordinated loan

金融機関が倒産したときに,他の通常の融資の回収が終わってからでないと返済を受けられない無担保の貸出債権。 1990年6月に大蔵省が導入に踏み切り,都市銀行などが生保損保から借り入れている。貸出期間は5年。金利は長期プライムレートを基準にした変動金利を採用している。株式の含み益とは異なり,安定した自己資本充実策として都銀などが借り入れを急増させてきたが,支払金利負担が重いという側面があり,最近では劣後ローンの調達を抑制する傾向にある。

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