戦前日本における労働組合運動の機関紙。1897年12月,日本初の労働組合である鉄工組合が結成されたとき,その母体の労働組合期成会の機関紙として発刊された(月2回刊)。主筆の片山潜のほか安部磯雄,高野房太郎,横山源之助,村井知至らが執筆し,組合運動発展の武器となった。初期の論調は労資協調に基づく改良主義的なものだったが,99年には〈社会主義欄〉が新設されるなど,しだいに社会主義や労働者政党の問題にも関心をよせるようになった。1901年12月21日,100号を最後に《内外新報》となったが,翌年4月から雑誌《労働世界》として復刊した。さらに,03年3月には《社会主義》と改称し,翌年12月まで刊行された。なお同名の雑誌が大正期に刊行されており,普通選挙運動に参加した立憲青年党の機関誌《一大帝国》を継承して19年創刊された。社長は橋本徹馬,主筆は加藤勘十で,労働問題,政治問題などを論じている。翌年廃刊した。
執筆者:梅田 俊英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本で初めての本格的機関紙。1897年(明治30)、労働組合期成会、鉄工組合が結成されると、その共同機関紙として12月1日発刊された。主筆は片山潜(せん)で、月2回刊のタブロイド紙。労働者の啓発と組織化に大きな役割を果たした。1900年(明治33)6月、月刊となり、9月から片山の個人経営となるが、翌年12月21日第100号で廃刊した。02年1月、日刊『内外新報』と改題発刊したが、4月3日ふたたび『労働世界』に復題(月3回刊の雑誌)し、翌年2月23日まで続くが、3月3日また『社会主義』と改題、社会主義協会の機関誌となる。
[春原昭彦]
『労働運動史料刊行委員会編『日本労働運動史料別巻 労働世界』(1960・東京大学出版会)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
労働組合期成会発行の本格的な労働運動機関紙。1897年(明治30)12月1日,片山潜を主筆に当初月2回で刊行開始。片山のほか安部磯雄・高野房太郎らが寄稿した。初期は労資協調的であったが,社会主義欄の設置,世界の労働運動事情の紹介など社会主義的色彩が強まり,鉄工組合の衰微とともに1901年の第100号で「内外新報」と改称。第2次「労働世界」,「社会主義」と続いたが,05年11月に途絶。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…オックスフォード大学在学中フェビアン協会に参加。W.モリスの機械文明批判とルソーの平等思想を摂取してフェビアン漸進主義を克服し,《労働世界》(1913)を書いて生産者による産業の自律的支配を唱え,ギルド社会主義の知的指導者となる。1918年マーガレット・ポストゲートと結婚。…
…期成会は各地で演説会を開き,既存の同業組合にも働きかけ,労働組合の結成を訴えた。同年12月1日には準機関紙《労働世界》を創刊し,急速に影響力を増した。その編集には片山を中心に横山源之助,植松考昭,西川光二郎らがあたった。…
※「労働世界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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