コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

労働基準監督官 ロウドウキジュンカントクカン

4件 の用語解説(労働基準監督官の意味・用語解説を検索)

デジタル大辞泉の解説

ろうどうきじゅん‐かんとくかん〔ラウドウキジユンカントククワン〕【労働基準監督官】

労働基準法およびその関連する法律の実施を監督する国家公務員労働Gメン。→労働基準監督署

出典|小学館
デジタル大辞泉について | 情報 凡例

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

労働基準監督官

労働者や労働条件を守るため、労働基準法などに基づき、雇用主らを監督指導する。違反者を逮捕、送検する権限も持つ。国際労働機関(ILO)は労働者1万人あたり1人以上の監督官がいることが望ましいとするが、日本は約0・5人にとどまっている。

(2013-10-12 朝日新聞 夕刊 1社会)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
朝日新聞掲載「キーワード」について | 情報

大辞林 第三版の解説

ろうどうきじゅんかんとくかん【労働基準監督官】

労働基準法やそれに関連する法令の実施を監督・指導する公務員。

出典|三省堂
大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働基準監督官
ろうどうきじゅんかんとくかん

労働基準法(昭和22年法律49号)が定める労働条件の基準(最低労働条件)の実効を確保するための監督行政を担当している国家公務員厚生労働省労働基準局都道府県労働基準局、労働基準監督署(2000年度全国343署および4支署)という系統の行政組織の構成員をなしている。[湯浅良雄]

沿革


イギリス
労働基準監督官の前身は工場監督官で、1833年工場法によって最初に有給で、専門の監督官が任命された。33年法はイギリス全土を四つの地域に分け、4人の工場監督官を任命した。1802年から33年までに制定された工場法は、いずれも有給の工場監督官制度を設けなかったため、使用者によって無視され、事実上、死文に等しい状況にあった。この監督官は工場法の違反を防止し、摘発するために工場への立入調査権をもち、また工場地域の住民の状態を調査し、その改善策を提案するために、政府に定期的に報告書を提出した。新たに設置された監督官は献身的に活動することによって、労働条件の改善と向上に大きく寄与した。イギリスにおいては工場法の適用対象が拡大し、法律が整備されるとともに、工場監督官制度も整備されていった。[湯浅良雄]
日本
1911年(明治44)に制定された日本の工場法は、きわめて規制水準が低く、しかも有効な監督機構を欠いていたため、事実上、死文に等しい状況にあった。第二次世界大戦後に制定された労働基準法は、規制内容を当時の国際水準に近づけるとともに、法律の実効を全国一律に確保するために、労働省(現厚生労働省)直轄下に労働基準監督官を配置し、監督機構を整備した。[湯浅良雄]

権限

労働基準監督官はその職務を遂行するために次のような権限が与えられている。
 第一に、監督官は労働基準法適用事業場、寄宿舎、その他の付属施設を臨検し、労働条件に関する帳簿や書類の提出を求め、また労働者もしくは使用者を尋問することができる(労働基準法101条)。
 第二に、監督官は労働基準法違反の事件に関する限り、刑事訴訟法に定める司法警察官として職務権限を行使することができる(102条)。
 第三に、適用事業場の付属寄宿舎が安全および衛生に関して定められた基準に違反している場合、その使用の停止、変更その他必要な事項を命じることができる(103条、96条の3)。
 また、監督官が権力や金力による圧迫に屈せずに、厳正な職務の遂行にあたることができるように、その罷免にあたっては労働基準監督官分限審議会の同意を得なければならない、という特別の身分保障が定められている(99条4項)。他方、労働基準監督官には、職務上知りえた秘密を漏らしてはならないという、守秘義務が定められている(105条)。
 なお、事業場において法律に違反があった場合には、労働者はその事実を行政官庁または労働基準監督官に申告することができ、このことを理由に、使用者はその労働者に対して解雇またはその他の不利益な取扱いをしてはならないことが定められている(104条)。[湯浅良雄]

問題点

以上のように労働基準監督官には非常に強い権限が与えられているが、第二次世界大戦後、適用事業場数、適用労働者数が著しく拡大してきたにもかかわらず、監督官の定員増が抑制されてきたため、十分な監督行政ができない状況にある。
 1948年(昭和23)と80年を比較すると、労働基準法適用事業場数は50万8000に対し322万1000で、6.3倍に増加している。また、適用労働者数も977万9000人に対し3817万6000人で、3.9倍に増加している。他方、監督官定数は2481人に対し3178人で、わずか1.3倍にしか増加していない。この結果、監督官の臨検監督実施率は1948年の37.7%から、79年の5.7%へと、著しく低下している。このため、現行定員では20年に一度しか同一事業場を臨検できないといわれている。また、事務量が膨大になってきているにもかかわらず、事務官の定員は相次いで削減され、この面からも監督官の職務遂行は大きく阻害されてきた。
 このような監督官の絶対的不足が、労働者の権利意識の低さと結合することによって、わが国において労働基準法違反が後を絶たないという状況を生み出してきた。ILO(国際労働機関)勧告(20号勧告)に従って通常の事業場に対して1年に1回臨検するためには、大幅な定員増が必要である。また、生産技術の発達にしたがって、その職務内容も年々複雑化しているので、専門官にふさわしい研修制度の充実も必要である。[湯浅良雄]
『厚生労働省監修『労働行政要覧』各年版(日本労働研究機構)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

今日のキーワード

百条委員会

地方自治体が議決により設置する特別委員会の一つ。名称は「地方自治法第100条」に基づく。百条委員会は、地方公共団体の事務に関する調査を行い、関係者への聞き取りや記録の提出を請求、拒否した者には罰則が科...

続きを読む

コトバンク for iPhone

労働基準監督官の関連情報