近世に男子が小袖の上に着た垂領(たりくび)型の上衣。もとは直垂(ひたたれ)系のものからでたと考えられるが,形の上では直綴(じきとつ),胴服(どうぶく)と密接な関係があり,〈じっとく〉という名称も〈じきとつ〉のなまったものだといわれ,のちの羽織の原型をなすものの一つと目される。二幅(ふたの)(約68~76cm)の広袖で,胸ひも,菊綴(きくとじ)があり,両わきは縫いふさいである。元来は家の中で小袖の上にはおって着る私服であったと思われるが,江戸時代になってからは中間,小者の服装として,十徳四幅袴(じつとくよのばかま),すなわち下に四幅のたっつけのような袴をはき,その上へ布の十徳を放着(はなちぎ)にして帯をするのがきまった形となった。将軍家の駕籠舁(かごかき)は,この姿であったという。また医者もこの十徳の生絹(せいけん)や,精好(せいごう),ラシャなどでできたものを帯なしで放着にして用いたといわれる。
→羽織
執筆者:山辺 知行
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男子服飾の一つ。鎌倉時代に行われた直綴(じきとつ)がなまったもので、その形態は法衣の偏衫(へんさん)から出たという。素襖(すおう)の両袖(そで)を縫いふさいで菊綴(きくとじ)をつけ、腰から下にひだをとった羽織状のもので、なかには定紋をつけたものもある。鎌倉時代末期には、身分の低い者が着用していたが、室町時代からは、旅人や犬追物(いぬおうもの)をする際に用いられた。江戸時代になると、駕輿丁(かよちょう)の常着となり、さらに医師、僧侶(そうりょ)、儒者、絵師や茶道の宗匠などが用いた。十徳は、四幅袴(よのばかま)をつけた上に着て帯を締めた。のちには羽織と同じように、小袖を着た上から十徳を羽織っただけで、帯を締めなくなり、この姿を「放ち十徳」といった。
[遠藤 武]
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