半村良(読み)ハンムラリョウ

デジタル大辞泉 「半村良」の意味・読み・例文・類語

はんむら‐りょう〔‐リヤウ〕【半村良】

[1933~2002]小説家。東京の生まれ。本名、清野平太郎。SF手法を取り入れた伝奇的時代小説で人気を得る。特に、市井に生きる人々の目を通して歴史を仮構した人情ものが評価された。「雨やどり」で直木賞受賞。他に「妖星ようせい」「岬一郎の抵抗」「太陽の世界」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半村良」の意味・わかりやすい解説

半村良
はんむらりょう
(1933―2002)

小説家。東京生まれ。本名清野平太郎(きよのへいたろう)。1952年(昭和27)両国高校卒業。工員バーテンダーなど多彩な職業を遍歴し、63年『収穫』で第2回『SFマガジン』コンテスト入選。夜の世界でしか生きられない奇怪な人間を描いた『石の血脈』(1971)で注目され、73年正史の陰に隠された一族の歴史を仮構した『産霊山(むすびのやま)秘録』(1972)で第1回泉鏡花(きょうか)賞を受賞。その後も、『黄金伝説』(1973)など、SF的手法で歴史の隠された脈絡を描いて、新たな伝奇時代小説の世界を開く。完結までに18年を要した『妖星(ようせい)伝』(1975~93)は、その集大成といえる。75年市井の人情を描いた『雨やどり』(1974)で第72回直木賞を受賞。ほかに、『不可触領域』(1974)、『どぶどろ』(1977)、『岬一郎の抵抗』(1988。日本SF大賞)、時代小説『かかし長屋』(1993。柴田錬三郎賞)、『すべて辛抱』(2001)など多数の著書がある。

[山田俊治]

『『半村良コレクション』3冊(1992~93・出版芸術社)』『『すべて辛抱』上下(2001・毎日新聞社)』『『石の血脈』『産霊山秘録』『不可触領域』(角川春樹事務所・ハルキ文庫)』『『完本妖星伝』全3巻(祥伝社文庫)』『『どぶどろ』(扶桑社文庫)』『『岬一郎の抵抗』『雨やどり』『かかし長屋』(集英社文庫)』『『黄金伝説』(講談社文庫)』『『半村良コレクション』(ハヤカワ文庫)』

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百科事典マイペディア 「半村良」の意味・わかりやすい解説

半村良【はんむらりょう】

小説家。本名清野平太郎。東京生れ。両国高校卒。以後,バーテンダーなど多種多様な職につく。1963年《収穫》で《SFマガジン》コンテストに佳作入選,作家活動に入る。《石の血脈》(1971年)で〈伝奇SF〉という新分野を開拓。1973年《産霊山(むすびのやま)秘録》で泉鏡花文学賞,翌年《雨やどり》で直木賞受賞。SF,伝奇ロマン,風俗小説,時代小説にわたって数多くの作品を執筆。他に《黄金伝説》《妖星伝》など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「半村良」の解説

半村良 はんむら-りょう

1933-2002 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和8年10月27日生まれ。バーテンダー,コピーライターなど多様な職業につく。昭和48年「産霊山(むすびのやま)秘録」で時代小説に伝奇的・SF的手法を導入し,泉鏡花文学賞。市井もの,人情ものも得意とし,50年「雨やどり」で直木賞,平成5年「かかし長屋」で柴田錬三郎賞。ほかに「妖星伝」など。平成14年3月4日死去。68歳。東京出身。両国高卒。本名は清野平太郎。

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