南座(読み)ミナミザ

デジタル大辞泉 「南座」の意味・読み・例文・類語

みなみ‐ざ【南座】

京都市東山区にある劇場。元和年間(1615~1624)に京都で公許された七座の一。四条通の南側にあったことから、南座と称された。現在の建物は昭和4年(1929)に改築されたもの。毎年12月の顔見世興行は京都の名物

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精選版 日本国語大辞典 「南座」の意味・読み・例文・類語

なん‐ざ【南座】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 南方の席。また特に、寺院法会の際に、堂内の南側に設けられた座。
    1. [初出の実例]「仁和先帝在親王時、参陣之日着南座、是故堀川太政大臣依北座歟云々」(出典西宮記(969頃)一七)
  3. 駕籠(かご)をかつぐ人夫かごかき。
    1. [初出の実例]「南座役人、今度就女御入内罷出、布直垂令著用度旨申之」(出典:孝亮宿禰記‐元和六年(1620)五月一三日)

みなみ‐ざ【南座】

  1. [ 1 ] 囲炉裏端(いろりばた)の客のすわる所をいう。主人の席である西座、主婦の席である北座に対する。
  2. [ 2 ] 京都市東山区四条にある劇場。元和年間(一六一五‐二四)に公許された七櫓(やぐら)の一つ。四条通南側にあったところから、南側の芝居と呼ばれていたが、明治三九年(一九〇六)南座と改称された。歌舞伎発祥地四条河原に残る唯一のもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「南座」の意味・わかりやすい解説

南座 (みなみざ)

京都市東山区四条大橋東詰南側の劇場。鴨川の四条河原は室町期から田楽,猿楽の勧進興行がたびたび催されていたが,応仁の乱後は一時途絶えた。その後慶長(1596-1615)初期五条河原の南で行われていた芝居が四条河原に移り,元和年間(1615-24)に7ヵ所の櫓(やぐら)(芝居小屋)が公許された。寛文年間(1661-73)鴨川の護岸工事によって新地が開拓され,祇園新地の発生とともに興行街となった。最盛期は元禄(1688-1704)ごろで,四条通りに面して南側に3軒,北側に2軒が向かいあい,大和大路上ル常盤町の2軒とあわせて7軒の劇場がそろい,近隣の祇園,宮川町先斗町の遊里とともに賑わった。その後興亡をくりかえしたが,幕末には南北2軒だけとなり,1893年四条通りの拡張工事によって北側芝居(北劇場,北座)は廃止され,南側に残った1軒が現在の南座である。江戸時代を通じて名代,座本は一定しなかったが,おもに都万太夫(みやこまんだゆう)と布袋屋(ほていや)梅之丞であった。古くは名代名を,のちには南の芝居,南側の芝居とよび,劇場名として南座におちついたのは明治中期である。1906年松竹合名社の所有となった。29年改築。劇場西側に〈阿国歌舞伎発祥地〉の碑がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「南座」の意味・わかりやすい解説

南座
みなみざ

京都市東山区四条にある劇場。元和(げんな)年間(1615~24)に公許された京七座の一つ。座名は、古くは座本名でよび一定しなかったが、四条通の南側にあり、南の芝居、南側の芝居ともよんだ。明治中期にはこの劇場だけが生き残り、南座の名称に定着。1906年(明治39)松竹合名社の経営となる。1929年(昭和4)、桃山式、破風(はふ)造、古風な櫓(やぐら)を残した鉄筋コンクリート造の近代的建築となった。さらに1991年(平成3)の改築では、内部の全面改修を行い、最新設備を整えた近代劇場となった。各種商業演劇を上演、また京都唯一の歌舞伎(かぶき)劇場でもあり、毎年12月の顔見世(かおみせ)興行が京都の年中行事として名物となっている。観客定員1086名。

[菊池 明]

『京都・南座の記録出版委員会編『京都・南座の記録――やわらかい劇場論』(1990・六耀社)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南座」の意味・わかりやすい解説

南座
みなみざ

京都市東山区四条にある劇場。元和年間 (1615~24) に公許となった7つの櫓 (やぐら) の一つ。元禄年間 (88~1704) の初めには,この7つは統合,廃絶され四条河原南北両側の3座となる。おもな名代は都万太夫,早雲長太夫,亀屋粂之丞,布袋屋梅之丞らであり,座名は座本名で呼ぶのを慣例とした。南座という現在の名称は明治中期以後。ただし幕末には南の芝居または南側の芝居と呼称。 1906年松竹の所有となり,現在の建築は 29年のものを改築。昔の芝居前の面影を,櫓,庵 (いおり) 看板に残して,現在もなお 12月には顔見世の名目を伝える唯一の劇場となった。

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