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卵子バンク らんしばんく

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知恵蔵の解説

卵子バンク

病気などで排卵のない女性に対し第三者の卵子を提供することを目的に、卵子を提供する意思のある女性を登録する機関。日本では、親族や友人以外の第三者による提供を支援するサービスが、NPO法人OD-NETによって2013年から始まった。
第三者による卵子提供は、海外では20年以上前から行われ、その多くが有償のサービスとなっているが、OD-NETが行っているのは無償での提供支援。ただしドナー(卵子を提供する人)から採卵する際の医療費はレシピエント(卵子をもらう人)側の負担としている。1983年に日本産科婦人科学会が非配偶者間体外受精を認めないとする見解を出したため、これまで親族や友人からの卵子提供ケースであってもごく一部の医療機関でしか取り扱えない状況が続いていた。
卵子は、精子のように凍結保存することが難しいため、卵子バンクに常に卵子が保管されているわけではなく、レシピエントとドナーのマッチングが成立し、互いに体調を整えた上での採卵となる。採取した卵子とレシピエントの夫の精子で体外受精した卵を、レシピエントの子宮に入れる。
国内で始まったサービスでは、レシピエントは法律婚をしていることや登録時の年齢が40歳未満であること、ドナーは35歳までですでに出産し子どもを持っていることなどが条件とされている。海外で卵子提供を受ける場合の経済的な負担や日本語が通じないことによるコミュニケーションの問題を回避できるというレシピエント側のメリットは大きいが、一方で、ドナー側で採卵時に事故が起きるリスクもあり、その対応にははっきりとしたルールがまだない。また、非配偶者間体外受精で生まれた子の発達過程に応じた心理的なサポートや、民法を始めとする法律もまだ、子どもが出自を知る権利や遺伝上の母と法律上の母の問題などの点が整っていないため、サービスの普及・利用にあたっての課題は多い。

(石川れい子 ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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デジタル大辞泉の解説

らんし‐バンク【卵子バンク】

第三者に卵子を提供するための仕組みや組織のこと。米国など一部の国では不妊症の人などへの卵子の販売が事業として成立している。

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知恵蔵miniの解説

卵子バンク

病気などが原因で妊娠できない女性に第三者の卵子を提供するサービス。日本では、2013年にNPO法人のOD-NET(卵子提供登録支援団体)が初めて親族や友人以外の第三者による卵子提供の仲介をスタートした。海外の多くの卵子バンクでは卵子が売買されるのに対し、OD-NETでは無償で提供される。高額な費用や言葉の問題をなしに卵子が求められるというメリットがある反面、卵子提供でドナーに副作用が出た場合の対応や、生まれた子どもが将来、出自に悩んだ場合のケア体制の整備など課題も多い。

(2013-5-15)

出典|(株)朝日新聞出版発行
(C)Asahi Shimbun Pubications Inc
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

卵子バンク
らんしばんく

第三者(ドナー)から提供を受けた卵子を、不妊夫婦などに対する非配偶者間体外受精などの目的で使用するために保存する機関。なお、非配偶者間体外受精とはこの場合、ドナーの卵巣から卵子を採取して、レシピエント(受容者)の夫の精子と体外受精させてできた受精卵を、レシピエントの子宮に戻し妊娠を試みる方法である。
 ドナーから卵子提供を受けることができれば、不妊治療によっても妊娠できない不妊夫婦をはじめ、若年で卵巣機能が低下して無月経が続く早発閉経や、卵巣癌(がん)などによる卵巣摘出、性染色体異常により先天的な卵巣機能不全を伴うターナー症候群などが原因で排卵ができない女性に妊娠の可能性が生まれる。
 日本では、2013年(平成25)にNPO法人「OD-NET(オーディーネット):卵子提供登録支援団体」が設立され、親族や友人以外のドナーによる提供を支援するサービスを開始した。海外ではドナーによる卵子提供が有償であることが多いのに対して、OD-NETの支援サービスは無償での提供が原則であるが、ドナーから採卵する際の費用はレシピエント側の負担となる。
 卵子提供についてはまだ法的整備が十分になされておらず、また日本産科婦人科学会は明確に禁止をうたっていないが、ドナーにかかる負担などの問題について指摘している。
 日本生殖補助医療標準化機関は卵子提供に関するガイドラインを発表しており、このなかで、卵子提供を受けるレシピエントは、卵子が存在しないことのほか、卵子が原因で6回以上の夫婦間体外受精でも妊娠せず今後も妊娠の可能性がきわめて低いと医師に判断されたこと、妻の年齢が50歳程度を目安に加齢により妊娠できない状態にないこと、法律上の夫婦関係にあること、出生児を安定して養育できる夫婦であることなどが条件とされている。またドナー登録者は、すでに出産し子供をもつ35歳未満の成人女性であること、提供のための採卵回数が3回以内であること、これまで提供した卵子から出生した子が5人未満であることなどが条件とされている。
 ドナーに対しては採卵までに排卵誘発剤の投与や、採卵時には麻酔などが行われる。しかし、この際にドナーになんらかの事故が生じた場合の補償や、採卵時のドナーの休業補償などへの対応についても、日本ではまだ確立されていない。また、非配偶者間体外受精で生まれた子供に対する告知の問題や、子供の出自について知る権利の問題、さらには、親は法律上、遺伝上の母となるのか、育ての母となるのかといった問題も残されたままで、今後の課題も多い。[編集部]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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