双務契約・片務契約(読み)そうむけいやくへんむけいやく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「双務契約・片務契約」の意味・わかりやすい解説

双務契約・片務契約
そうむけいやくへんむけいやく

双務契約とは、契約の両当事者が互いに対価的関係を有する債務を負担する契約(売買、交換、賃貸借雇用請負組合和解など)をいう。これに対して片務契約とは、当事者の一方が対価的債務を負担しない契約をいう(贈与、使用貸借など)。対価的関係を有するかどうかは、債務の目的たる給付が経済的・客観的に等価値であるかどうかによって決められるのではなく、当事者の主観、すなわち、当事者が互いに相手方の債務があることを前提として債務を負うかどうかによって決められる、と解されている。双務契約の効力上の特徴は、それが、成立上、存続上および履行上牽連(けんれん)関係を有している、ということである。すなわち、債務の一方が原始的不能などにより成立しないと他方も成立せず、一方が責に帰しえない事由で消滅すると危険負担の問題となり(民法534条~536条)、さらに、一方が履行しないと、その履行があるまで他方の債務者は債務の履行を拒むことができる(同時履行の抗弁権―民法533条)。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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