(読み)ハン

デジタル大辞泉 「反」の意味・読み・例文・類語

はん【反】[漢字項目]

[音]ハン(漢) ホン(呉) タン(慣) [訓]そる そらす かえる かえす かえって
学習漢字]3年
〈ハン〉
はねかえる。はねかえす。「反映反響反射反応はんのう
繰りかえす。「反芻はんすう反復
ひっくりかえる。ひっくりかえす。「反側反転
振りかえってみる。「反省
逆の事をする。対立する。逆。「反感反攻反抗反戦反対反面反目反問違反
(「」と通用)そむく。「反旗反逆反徒反乱離反
漢字音の表記法の一。「反切
〈ホン〉(「」と通用)そむく。「謀反むほん
〈タン〉
布類の長さの単位。「反物たんもの
土地の面積の単位。約10アール。「反収反別減反
[補説]1は「端」、2は「たん」の音借字。
[名のり]そり
[難読]反吐へど反古ほご反故ほご

はん【反】

[名]
反定立はんていりつ
反切はんせつ」の略。
[接頭]名詞に付く。
それとは反対の、それに反対するの意を表す。「体制」「主流派」
それに合致しない、それに背くなどの意を表す。「道徳」「社会的」

たん【反/段】

(「端」とも書く)布類の長さの単位。鯨尺で幅9寸(約34センチ)、長さ2丈6尺から2丈8尺(約10メートル)。だいたい一人分の衣服に要する長さ。
土地の面積の単位。1町の10分の1(約10アール)。10畝、また、300歩。もとは360歩。
距離の単位。6間(約11メートル)。
和船の帆の幅をいう単位。おおよそむしろ1枚の幅で、3尺(約91センチ)。「だん(段)」

ほん【反/叛】[漢字項目]

〈反〉⇒はん
〈叛〉⇒はん

たん【反】[漢字項目]

はん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「反」の意味・読み・例文・類語

そり【反】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「そる(反)」の連用形の名詞化 )
  2. そること。曲がりかえること。また、その度合や様子。
    1. [初出の実例]「敵太刀を捨て、腰刀を抜んと、一反(ソ)り反りけるが」(出典太平記(14C後)一六)
  3. 刀や長刀などの峰のそっている部分。また、その度合や様子。
    1. [初出の実例]「かたなのそりをなをし候」(出典:梅津政景日記‐慶長一七年(1612)一〇月一〇日)
  4. (つる)を張らない弓幹(ゆみほこ)のそっている部分。また、その度合やかたち
    1. [初出の実例]「あづさ弓さこそはそりの高からめはるほどもなくかへるべしやは〈藤原時房〉」(出典:二度本金葉(1124‐25)雑上)
  5. 逆にねじかえすこと。さかねじ。
  6. 人の性質、世の気風などの向き。性向。
    1. [初出の実例]「塾中自から独立の気風を生じて世間の反(ソ)りに合はぬことも多い」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉雑記)
  7. そりて(反手)
    1. [初出の実例]「鴨の入頸、みづくるま、そり、捻なげなんどいふ手を、我をとらじと取りしかば」(出典:信長記(1622)三)
  8. 休耕中の焼畑地。五、六年穀物を作った焼畑は以後七、八年から一〇年以上も放置しておいて、地力回復を待って焼いて焼畑地とする。そらしばた。

はん【反】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 反切(はんせつ)略称。日本では単に読み方を示すもの、または、「約」とか「略」に近い意味でも用いられた。かえし。
      1. [初出の実例]「かる臼は田廬のもとに吾が背子はにふぶに咲(ゑ)みて立ちませり見ゆ(田廬者多夫世反)」(出典:万葉集(8C後)一六・三八一七)
    2. ( [ドイツ語] Antithese の訳語 ) 哲学で、最初の命題を否定して新しく現われた命題をいう。反対命題。アンチテーゼ
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 名詞に付いて、それと逆である、それに対立する、それにそむくなどの意を表わす。「反作用」「反社会的」「反政府」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「反」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] ハン・ヘン
[字訓] そむく・かえす・かえる・そる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
厂(かん)+(又)(ゆう)。厂は崖の形。反はそこに手()をかけて攀援(はんえん)する(よじのぼる)形。そのような地勢のところを坂といい、もし聖所ならば阪という。阪の従う(ふ)は聖梯の形。聖所に攀援することを試みるような行為は、反逆とみなされた。〔説文〕三下に「(くつがへ)すなり。に從ひ、厂は反する形なり」とする。〔伝〕にも厂を「物の反するに象る」とするが、その形とはみえない。金文の〔小臣単(しようしんたんし)〕に、厂下に土を加えている字形があり、土は(社)の初文で聖所を示す字とみられる。〔小臣(しようしんそくき)〕に「東夷、大いに反す」のように、逆の意に用い、また〔頌鼎(しようてい)〕「瑾(きんしやう)(鬯(かんちよう)のための玉器)を反入(へんなふ)(返納)す」のように往反の意に用いる。

[訓義]
1. そむく、たがう、むほん。
2. かえす、かえる、もどす、くつがえす、はねかえす。
3. そる、かえりみる。
4. あらためる、かえる、かわる。
5. くりかえす、かえって。

[古辞書の訓]
和名抄〕反轉 辨色立に云ふ、反轉、久閇枳(くるべき)。楊氏語抄、同じ 〔名義抄〕反 カヘル・カヘス・カヘスカヘス・カハル・クツカヘル・ヒルガヘス・ソムク・サカフ・コタフ・モドル・ヤム・サカサマ・ソレル・ソル・ソリ・コボス・コボル

[声系]
〔説文〕に反声として(返)・(飯)・販・版・阪など十一字を収める。反声の字に、反転の意をもつものが多い。

[語系]
反・piuanは同声。また(翻)phiuan、phianは声義近く、反覆・反転の意がある。

[熟語]
反異・反意・反宇・反景・反映・反影・反衍・反応・反音・反過・反悔・反外・反間・反監・反観・反眼・反旗・反逆・反躬・反求・反響・反訓・反計・反撃・反言・反顧・反故・反語・反忤・反攻・反寇・反哭・反獄・反骨・反根・反始・反支・反事・反手・反首・反書・反掌・反証・反照・反情・反心・反身・反信・反脣・反襯・反人・反芻・反正・反省・反旌・反噬・反切・反接・反然・反走・反側・反仄・反俗・反対・反紐・反謀・反聴・反・反倒・反棹・反動・反馬・反旆・反背・反縛・反駁・反撥・反・反畔・反披・反風・反覆・反復・反袂・反閉・反哺・反謀・反報・反璞・反朴・反樸・反本・反命・反目・反約・反乱・反虜・反戻・反路・反弄・反閇
[下接語]
違反・往反・回反・顧反・旋反・相反・背反・倍反・復反・謀反・離反

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「反」の意味・わかりやすい解説


たん

日本固有の土地面積の単位。もとの字は段をあてた。300歩(ぶ)(坪)をいう。約9.9174アールにあたる。この単位は中国にはなく、日本では大化改新(645)以後の制度に現れ、360歩であったが、太閤検地(たいこうけんち)(1591)で300歩となった。ほかに布帛(ふはく)の長さの単位にも反を用いている。

[小泉袈裟勝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「反」の意味・わかりやすい解説

反【たん】

(1)尺貫法の面積の単位。段とも書く。1反=10畝(せ)=300歩(ぶ)≒991.74m2。701年大宝令で制定,360歩を1反としたが(現行の約354歩),1620年ごろ300歩1反となる。(2)織物の寸法の単位。鯨尺で幅9寸〜1尺,長さ2.6〜3丈。1反でふつう成人の着物1着を作る。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

単位名がわかる辞典 「反」の解説

たん【反】

➀布地の長さの単位。絹布では、鯨尺(くじらじゃく)で長さ2丈8尺~3丈、幅9寸5分~1尺のものを1反とした。和服地1反は成人の着物1着分にあたる。
➁尺貫法の土地の面積の単位。300坪。1町の10分の1。約9.92アール。8世紀初めから使われ、360歩(ぶ)を1反としたが、16世紀末以後は300歩を1反とした。◇「段」とも書く。
➂距離の単位。6間。約11m。

出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android