改訂新版 世界大百科事典 「受託会社」の意味・わかりやすい解説
受託会社 (じゅたくかいしゃ)
委任または信託の委託を受けた会社。(1)募集の受託会社 社債募集の委託を受けた会社。従前は銀行・信託会社に限られ,社債の償還に関する権限を与えられていたが,1993年の商法改正により,受託会社の資格要件はなくなり(商法中改正法律施行法56条削除),償還等社債権者保護に関する権限は,別に社債管理会社に付与された(商法309条以下)。(2)担保の受託会社 担保付社債の発行に当たって締結される信託契約の受託会社。銀行,信託銀行がこれになる(信託業法6条,長期信用銀行法6条の2,担保付社債信託法5条,6条)。受託会社は信託契約により担保権を取得し,これを総社債権者のために保存・実行する義務を負うほか,社債の管理につき,社債管理会社と同一の権限を有し義務を負う(担保付社債信託法69条,70条)。(3)営業信託の受託会社 信託銀行がこれになる(信託業法1条,2条,〈普通銀行ノ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律〉1条)。信託の引受けを営業として行う。(4)証券投資信託の受託会社 信託銀行がこれになる。一般投資家から資金を集めた証券会社が委託者となり,受託会社は委託者の指図に基づいて特定の有価証券への投資としてその資金を運用する(証券投資信託法2条,4条1項)。(5)貸付信託の受託会社 信託銀行がこれになる。受託会社は,1個の信託約款で多数の委託者との間に締結する信託契約によって受け入れた金銭を,主として貸付けまたは手形割引の方法で運用する(貸付信託法2条,3条)。
執筆者:藤井 俊雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報