アレルギー症状が口腔粘膜に限局する食物アレルギーのこと。OASと略称される。その機序(発症のメカニズム)は免疫グロブリンE(IgE)抗体を介した即時型アレルギー(原因食物を摂取してから短時間で症状が現れるアレルギー)である。
[高増哲也 2020年3月18日]
おもな原因食物は果物、野菜、豆類である。たいていは花粉症が先行しており、花粉との交差抗原性(類似した構造により同じ免疫反応が起こりえる)のあるアレルゲンが原因となっている。そのため、「花粉―食物アレルギー症候群」(pollen-food allergy syndrome:PFAS)ともよばれる。通常の食物アレルギーの感作(かんさ)経路は消化管であるが、口腔アレルギー症候群は感作経路が気道であるという説がある。花粉―食物アレルギー症候群の代表的なものとしては、シラカンバ花粉症にみられるリンゴなどのバラ科の果物による口腔アレルギー症候群があるが、日本にもっとも多いスギ花粉症については、特定の果物との関係はあまり明確になっていない。
[高増哲也 2020年3月18日]
症状は、原因食物の摂取直後から始まる、口腔内のかゆみ、違和感、刺激感であり、時間とともに自然に消失する。症状が口腔以外に広がることはないとはいえないが、その場合は「口腔アレルギー症候群」から通常の「食物アレルギー」へ、ときに診断名を変更する必要があるといえる。
[高増哲也 2020年3月18日]
診断では、病歴を詳しく確認することがもっとも重要であるが、IgE抗体があることを確認できるとなおよく、血液検査よりも果物など食品そのものを用いた「皮膚プリックテスト」のほうが有用であるとされている。「食物経口負荷試験」、「食物舌下投与試験」などで、症状の出現を確認することもある。
[高増哲也 2020年3月18日]
対処法としては、食物除去、または症状で困らない程度の摂取にとどめることである。加熱した食物では症状がおこらないこともよくあるので、症状がおこらないことが確認されれば、加熱をして食べる、または加熱殺菌処理されたジュースを飲むことができる。また、花粉に対する免疫療法を行うことで、口腔アレルギー症候群の症状が緩和されることが期待されるが、その効果についてはいまだ十分な情報がなく、今後さらなる研究の進展が望まれる。
[高増哲也 2020年3月18日]
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