六訂版 家庭医学大全科 「口腔粘膜の褥瘡性潰瘍」の解説
口腔粘膜の褥瘡性潰瘍
こうくうねんまくのじょくそうせいかいよう
Oral decubital ulcer
(口・あごの病気)
どんな病気か
むし歯や不適合の
原因は何か
むし歯やつめ物(
パーキンソン病や薬剤による口腔の不随意(ふずいい)運動(オーラルディスキネジア)や自分で舌や唇を噛む癖(
症状の現れ方
歯が原因になっているものでは、舌のへりや頬の粘膜に潰瘍が生じます。入れ歯によるものでは下あごの内側(舌側)にできることが多いようです。いずれも潰瘍は比較的浅く、凸凹が少なく平滑で、灰白色ないし黄白色、時に赤色を示します。
通常、周囲の粘膜はわずかに盛り上がるだけですが、長引くと周囲が硬くなりしこり(
検査と診断
原因と思われる刺激物がある部位に潰瘍が生じていれば、褥瘡性潰瘍と診断されます(図3)。原因になっている刺激物を除去すれば1~2週間程度で治癒します(図4)。
舌にできて周囲に硬結があるものは、がんとの区別が必要で、時に一部の組織を切除して顕微鏡検査(
治療の方法
原因になっている刺激物をできるだけ除去し、1~2週間程度経過を観察します。口のなかを清潔に保つことが大切で、潰瘍面に軟膏を塗付することもあります。
病気に気づいたらどうする
刺激物を除去しなければ治らないため、歯科医を受診し、原因になったむし歯の治療や入れ歯の調整をしてもらいます。長期間の機械的刺激は舌がん、歯肉がんなどの口腔がんの原因となります。刺激物を除去しても潰瘍が治らない時は、口腔内科、口腔外科などの専門医に診てもらいましょう。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報