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古代教会スラブ語 こだいきょうかいスラブご

4件 の用語解説(古代教会スラブ語の意味・用語解説を検索)

大辞林 第三版の解説

こだいきょうかいスラブご【古代教会スラブ語】

一〇~一一世紀にかけて、ブルガリア地方やマケドニア地方などで教会福音書の写本に用いられた言語。スラブ諸語の祖語の性質を数多く残している。

出典|三省堂
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世界大百科事典 第2版の解説

こだいきょうかいスラブご【古代教会スラブ語 Old Church Slavic】

9世紀中ごろキュリロス(スラブキリル)と兄のメトディオス(スラブ名メトディイ)によりスラブ語の文字が作り出されてからの,人為的に定められた11世紀末までのスラブ語の文献の言語で,スラブ語派中最古の文献の言語で文語である。この時代の文献でも個々のスラブ語の特徴が顕著な場合には,それを除くのが慣例で,国や学者によっていくらか範囲が異なっている。またこの時代に存在したと考えられるが,たまたま文献に出ていない形を含めて広く考える考え方もあり,その場合を考慮して〈古代スラブ語〉と呼ぶこともある。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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世界の主要言語がわかる事典の解説

こだいきょうかいスラブご【古代教会スラブ語】

9~11世紀のスラブ語の教会関連文献にみられる言語で、スラブ語派の最古の文語。863年モラビアチェコ東部)に伝道のために派遣されたギリシア僧兄弟キュリロスとメトディオスが、当時のスラブ語を表記すべく考案した文字(グラゴール文字)と、キリル文字で記述されている。古いスラブ語の特徴を保持した屈折型の言語(屈折語)で、比較言語学ではスラブ祖語の代わりに用いられる。歴史的にはロシア語の発達に大きな影響を与えた。

出典|講談社
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

古代教会スラブ語
こだいきょうかいすらぶご

9世紀後半に成立した最古のスラブ文語。時期的には10世紀から12世紀にかけて、場所的には西スラブのモラビア、パンノニアと南スラブのブルガリアマケドニアとにまたがって、聖書、典礼書、聖者伝などの教会文書の写本にみられる文章語としての中世スラブ語。写本はブルガリアで作成されたものが多く、南スラブ語的特徴を備えているために、古代ブルガリア語とよばれることもある。ビザンティン文化とギリシア正教の伝統の根強いロシアウクライナ、ブルガリア、セルビアなどにおいて今日なお教会の典礼用言語として用いられている後代の教会スラブ語とは、厳密には区別される。
 古代教会スラブ語は、ビザンティン皇帝の命により、862年ごろ、西スラブ人の国モラビアに宣教のため派遣されたギリシア人の学僧キリロス(スラブ名キリル)、メトディオス兄弟が、当時のスラブ語の表記に適した体系的な文字(グラゴール文字)を考案し、教会文献のスラブ語への翻訳を試みたことを契機として成立した。スラブ祖語に近い形態と構造を保持しているため、歴史・比較言語学の資料として重要であり、現代ロシア文語の成立の基ともなった。[栗原成郎]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の古代教会スラブ語の言及

【スラブ学】より

…スラブ学は最初はスラブ文献学として発展した。すなわち,9世紀後半にモラビアに布教したキュリロスメトディオス兄弟が案出した最古のスラブ文字(グラゴール文字と呼ばれる)とその言語(古代教会スラブ語)の研究であり,この分野は現在ではキリロメトディアナCyrillomethodianaの名称で呼ばれている。初期の代表的なスラブ文献学者は,チェコのドブロフスキー,スロベニアのコピタル,ロシアのボストーコフAleksandr Khristoforovich Vostokov(1781‐1864)である。…

【スラブ語派】より

…このときに作ったグラゴール文字はやがてすたれ,キリル文字とラテン文字にとって代わられることになる。スラブ語の古い時代,9世紀から11世紀末までに書かれた文献の言語を古代スラブ語(ないしは古代教会スラブ語)と呼び,非常に古い特徴を保っているので,比較言語学ではスラブ祖語の代りに用いる。しかしこの言語はその特徴から南スラブ・グループに属する言語である。…

【スラブ人】より

…キリスト教をビザンティン帝国から摂取したかローマから受容したかに応じて,スラブ世界は東方正教圏とローマ・カトリック圏に二分され,宗教的伝統ばかりでなく,文化的伝統をも異にするに至った。カトリック圏に入ったポーランド,チェコ,スロベニア,クロアチアなどはラテン語の学習を通じて文章語と文学の伝統を築き,ルネサンス期にはその文化の潮に浴したが,東方正教圏に属するブルガリア,セルビア,ロシアなどはギリシア語の学習を通じて創造した古代教会スラブ語を中世期の共通文章語として使用し,文学的伝統もビザンティン文学のそれにならった。このラテン的西方とギリシア的東方の文化伝統の相違は今日のスラブ世界にも見られるものである。…

【ロシア語】より


[歴史]
 6世紀から8世紀にかけてヨーロッパ・ロシア地域に分散定住したスラブ諸部族はスラブ基語を話した母集団から分離して東スラブ的特徴を強め,独立の方言集団を形成していたが,9世紀末にキエフを中心とする国家的統一を実現し,言語・文化の一体性を強めたものと思われるが,この時期の文献資料は存在しない。 10世紀末にキリスト教とともにその典礼言語である南スラブ起源の古教会スラブ語(古代教会スラブ語)をキリル文字とともに受け入れ,それを契機として標準的な書きことばが生まれ,14世紀までに多くの文献資料を残した。その言語を古期ロシア語Old Russianと呼ぶが,母音重複full vocalization――スラブ基語*gord(*は再構・措定形であることを示す),古教会スラブ語gradに対し古期ロシア語gorod(城塞,都市)などのように子音間の流音(r,l)の前後に母音(o,e)が重複する現象――や鼻母音(,ȩ)の消失,スラブ基語の*tj,*dj,*kt,*gtに古教会スラブ語はštまたはždで対応するのに対し,古期ロシア語はčまたはžで対応するなど,多くの独自性を示している。…

※「古代教会スラブ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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