古染付(読み)コソメツケ

デジタル大辞泉 「古染付」の意味・読み・例文・類語

こ‐そめつけ【古染付】

中国、明代末期に景徳鎮窯で焼かれた染め付け磁器。薄手で飄逸ひょういつ絵模様の日常食器と、日本茶人注文による厚手で風韻のある作風のものとがある。

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精選版 日本国語大辞典 「古染付」の意味・読み・例文・類語

こ‐そめつけ【古染付】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古渡り染付の意 ) 中国、明代末期頃に作られた染付磁器。大部分は景徳鎮民窯の製で、古拙な形と明るく滑稽みのある絵模様が特徴。型物の香合水差し皿鉢花入れなどがあり、日本からの発注品が多い。
    1. [初出の実例]「古染付の結構なたっぷりした煎茶茶碗を」(出典:塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉一六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古染付」の意味・わかりやすい解説

古染付
こそめつけ

中国の明(みん)朝末期に景徳鎮窯(けいとくちんよう)で焼かれた粗雑な染付磁器。古染付の呼称は、日本で近代になってからつけられたもので、江戸時代には南京(ナンキン)染付のなかに含められていた。古染付は2種に大別される。その一つは碗(わん)、皿、鉢などの日常食器であり、造りは薄手で、見込にはいかにも飄逸(ひょういつ)で軽妙洒脱(しゃだつ)な絵模様が描かれているのが特色である。この絵画風の文様に魅力を感じた江戸初頭の茶人が、好みの茶道具に絵付させて新味を得ようと、景徳鎮窯に水指(みずさし)、花生(はないけ)、向付(むこうづけ)、鉢、香合(こうごう)などの焼造を注文し、その結果つくられたのが、いま一つの粗厚で風韻のある古染付である。後者は明の天啓年間(1621~27)に優品の多くが焼造されたとみられる。

[矢部良明]

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百科事典マイペディア 「古染付」の意味・わかりやすい解説

古染付【こそめつけ】

中国明末の天啓〜崇禎年間(1621年―1644年)にかけて,景徳鎮窯の民窯で焼成された粗製染付磁器。その多くは,日本の茶人からの注文によって作られたと見られ,花生や水指,懐石道具類,茶碗,香炉,香合といった作例が多い。総じて厚手の作りで,いくぶん暗い発色のコバルト顔料が用いられている染付。作品は日本に多く伝世している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古染付」の意味・わかりやすい解説

古染付
こそめつけ

中国,明代末期に民窯で作られた日本向けの染付磁器。古染ともいう。在来の中国磁器に比べると器形も絵付けや文様も自由自在で,型にはまらず,茶人に珍重される。

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