古町村(読み)ふるまちむら

日本歴史地名大系 「古町村」の解説

古町村
ふるまちむら

[現在地名]伊南村古町

多々石ただいし村の北、伊南川右岸の河岸段丘上にある。集落は沼田街道に沿い、北に小名道成どうじよう(現道城)がある。寛文五年(一六六五)伊南郷村々改帳(馬場家文書)によると、往古は伊南町と称したが、天正年中(一五七三―九二)当地を居所とした河原田盛次が伊達政宗襲来の際に、青柳あおやぎ村の久川ひさかわ城郭を築き防戦、政宗退去後当地に戻り、古町と称したと伝える。河原田氏は南部に駒寄こまき城を築いたといわれ、東館ひがしだて西館にしだての地名や土塁が残されている。なお政宗に抗戦する盛次を佐竹義宣が激励した書状が、「新編会津風土記」に掲載されている。戦国期には河原田氏の城下、伊南郷の中心として江戸時代には古町組二三ヵ村の中心として栄え、正保元年(一六四四)には郷頭が置かれた(異本塔寺長帳)

文禄三年(一五九四)の蒲生領高目録に「古町 三百十五石九斗六升」とある。慶長二年(一五九七)の藤三郎倉入在々高物成帳(福島県史)では高五六七石余、免四ツ七分。


古町村
ふるまちむら

[現在地名]大原町古町

はら村の南に位置する因幡往来沿いの街村。東は尾崎おさき村・川西かわにし村と村境が交錯し、西は星祭ほしまつり山を挟んで川上かわかみ村。南は吉野よしの川沿いに辻堂つじどう村が続く。「東作誌」に小原おはら庄古町村とあり、康正二年(一四五六)から尾崎の小原城(山王山城)に宇野家貞が居城した頃は町場が形成されていたらしく、同氏が下町の竹山しもまちのたけやま城に移ってからは当地を古町とよんだという。しかし「東作誌」が編まれた当時も在地では小原と称していた。小原は「和名抄」記載の英多あいた郡大原郷が転訛したものとされる。応永三三年(一四二六)四月二七日のほうしゆん譲状(肥塚家文書)に「みまさかの国 おはらの市はよしのゝいまにし」とあり、当地などの檀那職が「しきふ」に譲渡されている。


古町村
ふるまちむら

[現在地名]熊本市二本木にほんぎ一―四丁目

白川右岸に位置し、西は宮寺みやでら村・久末ひさすえ村、南も宮寺村に接する。慶長国絵図に村名があり、高一五五石五斗余とある。「国誌」では横手手永に属し、宝暦八年(一七五八)の下ケ名寄帳では、惣畝数一六町九反余、うち御蔵納畑一六町三反余・新地田畑三反余・諸開畑二反余で、このほか石川内右衛門殿替地渡畑二町三畝余があり、畑二反一畝余は「延宝六年塘下ニ成」、畑七畝余は「元禄九年井手下ニ成」、畑二畝余は「享保四年洪水、川成ニ塘下ニ成」とあり、庄屋のほか頭百姓八・小百姓一〇がいた。


古町村
ふるまちむら

[現在地名]松川町元大島もとおおじま 古町

天竜川西岸、現松川町の南東部に位置し、竜口たつのくち(現高森たかもり町山吹)と境する。古町村の名称は、大島城の城下町であった大島町が天正一〇年(一五八二)の落城とともに寂れ、古い町になったところから生れたと思われる。天正一九年の信州伊奈青表紙之縄帳には「古町」の名称がみえず、正保四年(一六四七)の信濃国絵図高辻に、その名があることから、江戸時代の初めに「古町」といわれるようになったのであろう。


古町村
ふるまちむら

[現在地名]柏崎市古町

川東岸にあり、東は芋川いもがわ村、西は宮窪みやのくぼ村、北は城川原じようがわら村、南は佐水さみず村。もとは北川原きたがわら黒滝くろたき・宮窪の各村とともに上条じようじよう村と称し、当地はその中心地であったという(白川風土記)合生ごうしよう寺に宛てた慶長三年(一五九八)の堀直政寄進状(同書)に「上条村諏方寺」とみえる。近世は元和二年(一六一六)から同四年の長峰藩牧野忠成領以外は高田藩に属し、以後は柏崎町と同じ。元和四年の長岡藩知行目録では高一二六石八斗余。正保国絵図に高一三〇石余。天和三年(一六八三)の越後中将御領覚では高一五五石二斗余。


古町村
ふるまちむら

[現在地名]笠間市石井いしい

結城街道沿いにあり、東は石井村。中世は笠間氏の支配下にあり、江戸時代は笠間藩領で、「寛文朱印留」に村名が載る。「郡官日省録」(武藤家文書)によると、慶安二年(一六四九)の検地で村高一七六・二〇二石となり、万治三年(一六六〇)・延宝四年(一六七六)の新開検地で合せて六斗余を打出す。茨城郡山内南郷村差出帳(石井家文書)によれば、村には四壁山一、殺生場一などがあり、堰はたきのはた・四ッ塚よつづか蠏沢谷津かにさわやつにあり、売物は楮。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の古町村の言及

【市】より

…このような商人に加えて近隣の農民が生産物を市に出した。会津の古町村(福島県伊南(いな)村)の市では秋になると市日ごとに南の山郷伊北から馬に米を積んで売りに来るものが集まった。古町村ではこれらの米売りに対し,宿の払いを馬1頭ならば米2升,3頭も引くものは4升を払わせた。…

※「古町村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android