吹上げる(読み)フキアゲル

デジタル大辞泉 「吹上げる」の意味・読み・例文・類語

ふき‐あ・げる【吹(き)上げる/噴(き)上げる】

[動ガ下一][文]ふきあ・ぐ[ガ下二]
(吹き上げる)風が低い所から吹きのぼってくる。「涼風が川から―・げる」
(吹き上げる)風が吹いて物を高く舞いあがらせる。「風がすだれを―・げる」
水や煙などを勢いよく上へふき出させる。「鯨が潮を―・げる」
水・蒸気が勢いよくふき出て、上にあるものを持ち上げる。「煮立った汁が鍋のふたを―・げる」
[類語]上げる持ち上げる引き上げる押し上げる突き上げる差し上げる振り上げる吊り上げる打ち上げる放り上げる吸い上げる巻き上げる揺り上げるもたげる吹く吹き付ける吹き下ろす吹き込む吹き抜ける吹き荒れる吹きすさぶ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「吹上げる」の意味・読み・例文・類語

ふき‐あ・げる【吹上・噴上・吹揚】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ガ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ふきあ・ぐ 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙
    1. 風が吹いてきて、物を持ち上げたり、舞い上がらせたりする。
      1. [初出の実例]「風はげしくて、おほんまくふきあげたるよりみいるれば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)春日詣)
    2. 水や蒸気などが、勢いよく上がってきて、上にある物を押し上げたり、軽い物を舞い上がらせたりする。
      1. [初出の実例]「水をわかすと、じょーきといふものができて、ふたをふきあげる」(出典:尋常小学読本(明治三六年)(1903)五)
    3. 上方に吹き出させる。水や煙などを高くのぼらせる。
      1. [初出の実例]「長須は〈略〉潮を一筋にいといと高く吹切やうに吹上(フキアグ)るなり」(出典:勇魚取絵詞(1829)上)
    4. 笛などを音高く鳴らす。
      1. [初出の実例]「大ひちりき、尺八の笛などの大声を、ふきあげつつ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
    5. 江戸時代、遊興などに夢中になったりして、惜しげもなく大金を使う。
      1. [初出の実例]「男の方に、すきとふきあげ、引おひをして、主人をたをし」(出典:評判記・吉原すずめ(1667)上)
    6. 人をおだてて持ちあげる。
      1. [初出の実例]「山鳩が逸物(いちもつ)の鷹と吹上たるも心ぐるしく」(出典:俳諧・篇突(1698))
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ガ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ふきあ・ぐ 〘 自動詞 ガ下二段活用 〙
    1. 風が低い所から吹きのぼってくる。
      1. [初出の実例]「大和へに 西風(にし)布岐阿宜(フキアゲ)て 雲離れ 退き居りとも 我忘れめや」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    2. 激しい感情がわき上がってくる。
      1. [初出の実例]「このわづらはしいつながりから、どんな価を払っても解放されたい気持が〈略〉吹きあげてきた」(出典:ある女(1973)〈中村光夫〉一)
    3. 取引市場で、突然大きく値が上がる。
      1. [初出の実例]「明昭興業は七月に入ると、百五十円まで、吹きあげた」(出典:脂のしたたり(1962)〈黒岩重吾〉リングの女)

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