差上げる(読み)サシアゲル

デジタル大辞泉 「差上げる」の意味・読み・例文・類語

さし‐あ・げる【差(し)上げる】

[動ガ下一][文]さしあ・ぐ[ガ下二]
手に持って高く上げる。「バーベルを―・げる」
「与える」「やる」の意の謙譲語で、その相手を敬う。「この花を―・げます」
声を高く出す。
「細くらうたげなる声を―・げて泣く泣く飲む」〈宇治拾遺・九〉
補助動詞)動詞の連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて、「…してあげる」の「あげる」よりも、その動作の相手へより深い敬意を込めていう語。「荷物を持って―・げましょう」
[類語](1上げる持ち上げる引き上げる押し上げる突き上げる振り上げる吊り上げる打ち上げる放り上げる吹き上げる吸い上げる巻き上げる揺り上げるもたげる/(2供える捧げる献ずる奉る貢ぐ奉ずる奉奠与える授ける恵む施すやるあげるくれるくださる賜る供する供与提供授与恵与

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精選版 日本国語大辞典 「差上げる」の意味・読み・例文・類語

さし‐あ・げる【差上】

  1. 〘 他動詞 ガ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]さしあ・ぐ 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 ( 「さし」は接頭語 )
  2. [ 一 ]
    1. あげる。もちあげる。
      1. [初出の実例]「蔀(しとみ)さしあけたる所に宿りて」(出典蜻蛉日記(974頃)上)
    2. 手などに持って高くあげる。高く掲げる。
      1. [初出の実例]「其の時に象来て比丘を鼻に掻懸て遙に指上げて」(出典:今昔物語集(1120頃か)五)
      2. 「色々の旗を差上(サシアゲ)飯盛山にぞ向ひ合ふ」(出典:太平記(14C後)二六)
    3. 声をはり上げる。声の調子を高くする。
      1. [初出の実例]「銅の湯を〈略〉ほそく、らうたげなる声をさしあげて、泣く泣くのむ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)
    4. 「与える」の謙譲語。献上する。たてまつる。
      1. [初出の実例]「鬘(びん)の髪と消息とを差あげて声も惜まず泣ければ」(出典:太平記(14C後)二)
  3. [ 二 ] 補助動詞「あげる」をさらに敬意を含めていう語。動詞の連用形に、助詞「て(で)」の付いた形に添えて用いる。
    1. [初出の実例]「わたしの力で出来るだけの事はして差(サ)し上(ア)げたいと思ひます」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫一四)

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