味真野(読み)あじまの

精選版 日本国語大辞典 「味真野」の意味・読み・例文・類語

あじまのあぢまの【味真野】

  1. 福井県武生(たけふ)東部地名。「和名抄」の味真郷一部浅水(あそうず)川の水源がある。味間野。

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日本歴史地名大系 「味真野」の解説

味真野
あじまの

武生市の東部にあって、鞍谷くらたに川と文室ふむろ(水無瀬川)のつくる扇状地一帯の称。古代の味真郷(和名抄)の地とされる。扇央部の開発は遅れたが、扇端湧水地帯には早くから人が住み、五分市ごぶいちの字的場まとばからは縄文時代の遺物が発見され、また白鳳期の野々宮ののみや廃寺跡もあって、古くから開けた所で、今立郡衙もこの地にあったといわれる。天平一〇年(七三八)頃、官人の中臣宅守は越前に配流されたが、妻の狭野弟上娘子との間に交わされた相聞歌六三首が「万葉集」巻一五に収められ、うち次のような一首がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「味真野」の意味・わかりやすい解説

味真野
あじまの

福井県越前市(えちぜんし)東部、武生(たけふ)盆地の南東隅にある地区。岡本、粟田部(あわたべ)地区一帯をも含めて広く味真野の里とよんでいる。『和名抄(わみょうしょう)』所載の味真郷(ごう)とされる。越前国府(越前市)に近く、『万葉集』巻15の贈答歌「味真野に宿れる君が帰り来(こ)む時の迎へを何時(いつ)とか待たむ」や、謡曲花筐(はながたみ)』ゆかりの地である。野々宮(ののみや)廃寺跡、小丸(こまる)城跡などの旧跡にも恵まれているほか、越前市五分市(ごぶいち)の鋳物師(いもじ)や、同市五箇(ごか)の紙漉(かみす)きで知られ、また真宗出雲路(いずもじ)派本山毫摂寺(ごうしょうじ)の所在地でもある。

[印牧邦雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「味真野」の意味・わかりやすい解説

味真野
あじまの

福井県中央部,武生盆地の南東隅をなす浅水川 (あそうずがわ。上流は文室川) の扇状地にある地区。旧村名。 1956年武生市に編入。6世紀頃,即位前の継体天皇の潜居があったと伝えられ,その御所跡,御学問所跡などの史跡や白鳳時代の野々宮廃寺跡,さらに織田信長に封じられた佐々成政の小丸城址,また真宗出雲路派本山毫摂寺もある。茶,ブドウなどの畑作が行われる。扇状地末端の集落五分市は竹人形細工を産し,湧水を利用した化学工場もある。

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