日本大百科全書(ニッポニカ) 「今立」の意味・わかりやすい解説
今立
いまだて
福井県中央部、今立郡にあった旧町名(今立町(ちょう))。現在は越前(えちぜん)市の東部を占める地域。旧今立町は1956年(昭和31)粟田部(あわたべ)町(1926年町制)が改称し、同年岡本村を編入。2005年(平成17)武生(たけふ)市と合併し越前市となる。JR武生駅からバスの便があり、国道417号が走る。武生盆地の一部をなす沃野(よくや)に位置し、『和名抄(わみょうしょう)』の味真郷(あじまごう)の一部にあたる。今立の中心は粟田部で商業が盛んである。イネの単作農業地帯で、零細農家が多く、農村総合モデル事業によって農業の近代化を図っている。旧町域の約69%が林野で占められ、県下で最高の人工林率を誇っている。工業は繊維、紙、紙加工、眼鏡枠などの製造が主である。とくに和紙、紙加工業は、古くから発達した伝統工業であり、越前和紙として全国にその名が知られている。観光地としてはサクラの名所花筐(かきょう)公園や和紙の里会館、国の重要文化財の大滝神社がある。
[印牧邦雄]
『『今立町誌』(1981・今立町)』