日本大百科全書(ニッポニカ) 「和歌山線」の意味・わかりやすい解説
和歌山線
わかやません
西日本旅客鉄道の線路名称。王寺(おうじ)(奈良県)―和歌山間、87.5キロメートル。全線単線、直流電化。奈良盆地南西部を紀ノ川中流域を経て和歌山平野と結ぶ。沿線には大和高田(やまとたかだ)、御所(ごせ)、五條、橋本などの都市がある。王寺―高田間は大阪鉄道により1891年(明治24)、高田―二見(ふたみ)(現、大和二見)間は南和(なんわ)鉄道により1896年、二見―和歌山(現、紀和、南海(なんかい)鉄道接続点)間は紀和(きわ)鉄道により1898~1905年にそれぞれ別個に開業したが、いずれも関西鉄道に統合され、1907年国有化された。1909年の線路名称の制定とともにこれらを統合して和歌山線と称した。当時は和歌山側のターミナルは市街北西部にある南海鉄道の和歌山市駅に置かれた。しかし、第二次世界大戦後の1972年(昭和47)、田井ノ瀬(たいのせ)―和歌山(1968年3月に東和歌山より改称)間の、紀勢(きせい)本線との連絡線を編入し、定期列車は市街地東端の和歌山駅発着に改められた。同時に、紀和(1968年2月に、和歌山から改称)―和歌山市間は紀勢本線に編入された。その後、1974年に田井ノ瀬―紀和間を廃止した。奈良盆地南部の住宅化が進んで輸送需要が増加したのに伴って、1984年に全線電化された。1987年、日本国有鉄道の分割民営化に伴い、西日本旅客鉄道に所属。通勤者の多い王寺―高田間と粉河(こかわ)―和歌山間にとくに列車の運転が多い。
[青木栄一・青木 亮]