和歌山平野(読み)ワカヤマヘイヤ

デジタル大辞泉 「和歌山平野」の意味・読み・例文・類語

わかやま‐へいや【和歌山平野】

和歌山県北西部、紀ノ川河口沖積平野。県内最大の平野で、面積約100平方キロメートル。河口から約15キロメートルさかのぼった部分から下流域をいう。米作地帯。中心和歌山市。上流域を含めて紀ノ川平野と呼ぶこともある。

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改訂新版 世界大百科事典 「和歌山平野」の意味・わかりやすい解説

和歌山平野 (わかやまへいや)

和歌山県北部の平野。奈良県の吉野川が和歌山県に入って紀ノ川となるが,この流れに沿って東から西にらっぱ状に広がる県下最大の平野で,紀ノ川平野ともいう。広義の和歌山平野は橋本から下流部で面積は約193km2に及び,県下の平野面積の約50%を占める。ほぼ岩出市を境に,上流は河岸段丘和泉山脈の南麓から連なる複合扇状地洪積台地からなり,下流が狭義の和歌山平野で,紀ノ川による堆積平野をなし,河口付近には海岸砂丘が発達する。この地域には条里制の遺構がみられ,古代からすでに水田地帯としての開発が行われていたことを裏づけている。そして低湿地には江戸時代の開発地である新田がみられる。気候は瀬戸内式で,年降水量は1500mm内外と少ない。したがって上流部の水利の条件の悪い地域では,中世末期から近世にかけて多くの溜池や紀ノ川に井堰が設けられ,この平野の穀倉地帯化を促してきた。特に藤崎・小田両井堰は紀州流の築堤工法として有名である。

 江戸時代には商品作物としてワタの栽培が盛んで,和歌山市を中心とする綿ネルや橋本市の旧高野口町のシール織などの繊維工業の由来を形成した。従来の穀倉地帯の水田はかなりミカン園に転換され,量的にも有田地方をしのぐようになった。果樹園地化は柿や桃にも及んでいる。下流部に近い平野農村のかつてのワタに代わる商品作物としてはタマネギ栽培をあげることができる。これは大阪の泉州地方から続くもので,水田の裏作として重要である。さらに堆積平野の部分は和歌山市の近郊農業地帯としてはんらん原や海岸砂丘がよく利用され,冬季の降霜日数も少ないため,野菜の露地栽培が可能である。結球ハクサイ,キャベツなどのほか,ダイコンは有名で,約35%が沢庵漬に加工される。1974年の阪和高速道路の開通などの道路網の整備により,阪神の近郊園芸地帯としての性格を帯びるようになってきた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和歌山平野」の意味・わかりやすい解説

和歌山平野
わかやまへいや

和歌山県北西部,紀ノ川下流域に広がる平野。紀ノ川平野ともいう。面積約 100km2。和歌山県第一の平野で,北は中央構造線に沿う和泉山脈南麓の断層崖,南は龍門山などの山地でかぎられる。紀ノ川河口から約 15kmさかのぼった紀の川市粉河付近を頂点としたかつての入江に,縄文時代以降しだいに土砂が堆積して形成された。和歌川,土入川,水軒川など旧河道と低湿地が残っている。河口部には 3条の浜堤があり,和歌山城の南にある岡山を起点とした浜堤が最も古い。開発は古く,周辺山麓には縄文遺跡や古墳群,平野部の自然堤防には弥生遺跡があり,低湿地を除いて条里制遺構も残る。江戸時代には和歌山藩 55万5000石の約半分の米を産していた。中心は和歌山市

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「和歌山平野」の意味・わかりやすい解説

和歌山平野
わかやまへいや

和歌山県北西部、和歌山市域に含まれる県内第一の平野。和泉(いずみ)山脈南麓(ろく)を西流する紀ノ川が龍門(りゅうもん)山地との間に形成した流域平野全体を紀ノ川平野とよび、河口から約15キロメートルさかのぼった狭隘(きょうあい)部から下流の部分を一般に和歌山平野とよぶ。縄文時代には入り江であったが、海退と紀ノ川の堆積(たいせき)によって汀線(ていせん)がしだいに後退したと思われ、和歌川、土入(どにゅう)川、水軒(すいけん)川など流路の変遷を物語る旧河道や、名草(なぐさ)山、雑賀(さいか)山や和歌山城跡の岡山など、古くは海中の島であった丘陵が点在する。かつての汀線を示す南北に延びる三列の砂丘も、いまは市街地に取り囲まれたり、埋立てによって姿を没している。

[小池洋一]

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百科事典マイペディア 「和歌山平野」の意味・わかりやすい解説

和歌山平野【わかやまへいや】

和歌山県北部の平野。面積約190km2紀ノ川中・下流域に広がる細長い平野で,紀ノ川,和田川などの沖積平野と和泉山脈南麓の扇状地群からなり,江戸中期以前に開拓が終わり,県第1の水田地帯をなす。中心は紀ノ川河口の和歌山市。
→関連項目和歌山[県]和歌山[市]

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