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春風馬堤曲 しゅんぷうばていきょく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

春風馬堤曲
しゅんぷうばていきょく

与謝蕪村の詩。安永6 (1777) 年の春興帖夜半楽』に発表。帰郷の藪入り娘の心情に仮託して,みずからの郷愁を述べた抒情詩。母と弟を残して大坂に奉公に出て3年ぶりに帰郷する少女が,大坂から郊外の長柄川べりに出て水と戯れ,顔見知りの茶店の老婆に会い,やがて春草のなかに摘み取ったタンポポ乳汁から慈母の恩を回想し,3年の無沙汰を反省して心沈みつつ道を急ぐうち,たそがれのなかに弟を抱いて自分を待つ白髪の老母を発見する。発句漢詩漢文直訳体の3種の詩形 18章を不規則に連結した独自のものであるが,それらがみごとに融合し,巧みな構成で少女の心情の推移を表現している。

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デジタル大辞泉の解説

しゅんぷうばていのきょく【春風馬堤曲】

与謝蕪村の俳詩。安永6年(1777)刊行の「夜半楽」に収録。実験的な連作叙事詩。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅんぷうばていのきょく【春風馬堤曲】

俳体詩。与謝蕪村作。1777年(安永6)春刊の《夜半楽(やはんらく)》に発表。発句体,絶句体,漢文訓読体と雑多な短詩形を交互に18首連ね,やぶ入りの少女が淀川の毛馬(けま)堤を家郷へたどる様を描いたもの。実は蕪村のやみがたい望郷の念が託されており,その豊潤な詩情,高い格調,確かな構成力は,支考流の仮名詩の域を脱し,独創的な長詩となった。漢詩,和漢俳諧の流行が背後にあり,清水孝之は明の徐禎卿(じよていけい)の楽府体連作《江南楽八首》の影響を指摘する。

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大辞林 第三版の解説

しゅんぷうばていのきょく【春風馬堤曲】

与謝蕪村作の俳詩。藪入やぶいりする娘が浪花から親里まで毛馬の堤に沿って帰郷する道行きを発句と漢詩で構成した作品。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

春風馬堤曲
しゅんぷうばていのきょく

蕪村(ぶそん)の俳詩。1777年(安永6)の春興帖(しゅんきょうちょう)(春になって門下知友に配る句帖)『夜半楽(やはんらく)』に「澱河歌(でんがのうた)」「老鶯児(ろうおうじ)」とともに三部作として公表された。あでやかな藪入(やぶいり)娘が大坂から淀川(よどがわ)沿いの堤をさかのぼって、母と弟の待ちわびるわが家へとたどる道行は、左岸毛馬(けま)村に生まれ育った郷愁の詩人の代表作である。この「歌曲十八首」は「やぶ入や浪花(なには)を出でて長柄(ながら)川」の発句に始まり、友人太祇(たいぎ)の藪入句に終わる。その間、楽府体(がふたい)漢詩形、漢文訓読体、破調句などの雑体詩形を連鎖させる構成は、独創的な連作叙事詩といえる。若き日の叙情詩「北寿(ほくじゅ)老仙をいたむ」(1745)とともに注目すべき詩業であり、晩年のこの曲は明(みん)の徐禎卿(じょていけい)の楽府体連作詩「江南楽八首内(妻)に代りて作る」および服部南郭(はっとりなんかく)の「潮来(いたこ)詞二十首」などを参考として創作された。[清水孝之]
『安東次男著『日本詩人選18 与謝蕪村』(1970・筑摩書房) ▽清水孝之校注『新潮古典文学集成 与謝蕪村集』(1979・新潮社)』

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