唯心(読み)ユイシン

デジタル大辞泉 「唯心」の意味・読み・例文・類語

ゆい‐しん【唯心】

仏語。すべての存在は心の現れであって、ただ心だけが存在するということ。華厳経中心思想。
すべての根源精神にあるとし、精神を中心に考えること。⇔唯物

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精選版 日本国語大辞典 「唯心」の意味・読み・例文・類語

ゆい‐しん【唯心】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。一切の諸法はそれを認識する心の現われであり、存在するのはただ心だけであるということ。華厳経(けごんきょう)の中心思想であるが、また唯識と同義にも用いる。
    1. [初出の実例]「不自心為天獄豈悟唯心除禍災」(出典秘蔵宝鑰(830頃)下)
    2. [その他の文献]〔成唯識論‐二〕
  3. 仏語。自己の心の本性に仏や浄土が内在するとすること。仏や浄土はわが心の中にあるという考え。→唯心の彌陀
    1. [初出の実例]「末代道俗、近世宗師沈自性唯心浄土真証」(出典:教行信証(1224)三)
  4. 精神だけが真の存在であるとして、精神を本位として考えること。→唯心論
    1. [初出の実例]「夫れ余は唯物、唯心━正しく言へば主物、主心━の二派の併行を望めり」(出典:精神啓微の評(1889)〈森鴎外〉)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「唯心」の解説

唯心 ゆいしん

?-? 鎌倉時代の僧。
山城(京都府)石清水八幡宮で,真言宗小野・広沢両流の秘密灌頂(かんじょう)をうける。瑜伽(ゆが)で悟りをえた人といわれた。文永(1264-75)の末ごろ胎蔵界法をおこなっているとき没したといわれる。山城出身。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唯心」の意味・わかりやすい解説

唯心
ゆいしん

仏教用語。すべての現象は心によって産出されたもので,本質上実在するものではなく,心のみが一切の根源であり最高の実在であることを示す語。『華厳経』の三界唯心という語に基づく。

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普及版 字通 「唯心」の読み・字形・画数・意味

【唯心】ゆいしん

一切唯心。

字通「唯」の項目を見る

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