噎せる(読み)ムセル

デジタル大辞泉 「噎せる」の意味・読み・例文・類語

む・せる【×噎せる/咽せる】

[動サ下一][文]む・す[サ下二]
飲食物や煙が気管にはいるなどして、息苦しくなったりせきこんだりする。むせぶ。「香水のかおりに―・せる」「急に水を飲んで―・せる」
悲しみなどのために胸がふさがる。
言問はむよしのなければ心のみ―・せつつあるに」〈・五四六〉
[類語](1あえはあはあぜいぜいぜえぜえあえぎ喘ぎむせ返るむせぶき切る息が切れる息を切らす息を弾ませる肩で息をするき込む息衝く息がはずむ息切れ息も絶え絶え気息奄奄えんえん胸苦しい重苦しい重重しい息詰まる寝苦しい息苦しい苦しい片息/(2胸を痛める胸が痛む胸が張り裂ける胸が塞がる胸がつかえる胸が裂ける胸が潰れるひし胸がつまる悶悶もんもん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「噎せる」の意味・読み・例文・類語

む・せる【噎・咽】

  1. 〘 自動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]む・す 〘 自動詞 サ行下二段活用 〙
  2. 飲食物や煙などが気管にはいって、息がつまったりせきこんだりする。むせぶ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「用心なくして吹出しける程に、管中に平蛛のありけるが、喉にのみ入られにけり、むせてはつきまどひける程に」(出典:古今著聞集(1254)六)
  3. 特に、涙がはげしく出て喉(のど)をふさぐ。涙を流す。
    1. [初出の実例]「ただわかれむほどのわりなさを思ひ、むせたるも、いとことわりなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
  4. 悲しみなどで、心がふさがる。胸がいっぱいになる。むせぶ。
    1. [初出の実例]「吾妹子が植ゑし梅の木見るごとに情(こころ)(むせ)つつ涙し流る」(出典万葉集(8C後)三・四五三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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