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囚人のジレンマ しゅうじんのジレンマprisoner's dilemma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

囚人のジレンマ
しゅうじんのジレンマ
prisoner's dilemma

ゲームの理論の1例で,経済学では寡占の問題,戦略論では核抑止力の問題などのモデル化に応用されている。非零和ゲームでは単にミニ・マックス原理で解決できない問題が生じる。その代表例がこの囚人ジレンマである。共犯の2人が警察に拘留されて別々に尋問され,ともに黙秘を通せば両者ともには軽く,もし一方が共犯証言をし,他方が黙秘を続ければ,共犯証言をしたほうは釈放され,黙秘を続けたほうは重い刑を受ける。また両者が自白した場合には若干の減刑がある。この場合,片方が釈放を願って証言をすれば他方もその戦略をとる可能性があり,その場合は両者が黙秘を通した場合よりも悪い結果となるというジレンマが生じる。国際政治における国家間の関係がこの2人の囚人の関係に似ていると思われるところから,国際政治学でも特に重視されるゲームの例である。このゲームの1つの教訓は,2人の囚人の相互信頼が大きな利得につながるという点にあり,それを国際平和の実現に応用することができるという積極面もある。 (→非定和ゲーム )

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デジタル大辞泉の解説

しゅうじん‐の‐ジレンマ〔シウジン‐〕【囚人のジレンマ】

ゲームの理論における重要な概念の一つ。二人容疑者が別室で尋問され、一方が自白し、もう一方が黙秘の場合、前者は釈放、後者は10年の懲役となり、二人とも黙秘の場合は懲役1年、二人とも自白の場合は懲役5年となるとする。この条件のもとで二人が最大の利益を得るためには二人とも黙秘することだが、相手の裏切りを恐れて結果的にどちらも自白するというジレンマが生じる。個人が自らの利益のみを追求している限り、必ずしも全体の合理的な選択に結び付くわけではないことを示している。

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人材マネジメント用語集の解説

囚人のジレンマ

・囚人のジレンマとは、個人の最適化を図ろうとした選択が、結果として全体の最適選択とはならないことを示唆するゲーム理論のモデルである。このモデルは、環境保護問題や値下げ競争等幅広い状況で使用される。
・(例)
同一の事件で逮捕された2人の囚人が、互いに意思疎通をできない牢獄にいる。そこで2人に対し、個別に提案を出される。「自白するれば司法取引により釈放されるが、もう1人も自白した場合は2人に懲役3年が科せられる。1人が自白し、もう1人が黙秘した場合、自白した者は釈放され、黙秘した者は懲役5年が科せられる。また両方が黙秘した場合は、懲役1年が科せられる。」
自分にとって最適なのは、自分の自白と相手の黙秘によって釈放されることである。しかし、相手も自白してしまうと双方に3年の懲役が科せられる。その一方、もし自分黙秘し相手も黙秘した場合、双方が自白した場合の懲役3年より短い懲役1年となる。しかし相手が自白した場合、自分にとって懲役5年という最大不利益を被ってしまう。
・全体としてみれば、2人の囚人の黙秘による懲役1年が最適な選択であるのにも関わらず、自白をした場合自分にとって釈放という最適化があるため、自白か黙秘かの選択にジレンマが生じてしまう。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうじんのジレンマ【囚人のジレンマ prisoners’ dilemma】

ゲーム理論における非協力非ゼロ和2人ゲームの例として考えられたもので,ある事件の共犯であることが確実な容疑者を別件で逮捕し,別々の部屋で検事が2人に〈黙秘するか自白するか二つの方法があって,自白すれば自白した者の刑を軽くする〉と告げたとする。そして,もし一方が自白し,他方が黙秘したとすると,犯罪の事実が確定し,自白した者は減刑されて1年の刑を受け,他方は10年の刑を受ける。2人とも黙秘すると,2人とも逮捕された別件の罪で2年の刑を受け,2人とも自白すると5年の刑を受ける。

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大辞林 第三版の解説

しゅうじんのジレンマ【囚人のジレンマ】

相手の出方によって自己の利益に違いが出るという設定下で、二つの選択肢が与えられた二人の人間が遭遇するジレンマ。自白を求められた二人の囚人の状況になぞらえてこう呼ばれる。ゲーム理論の用語。

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世界大百科事典内の囚人のジレンマの言及

【寡占】より


[協調,参入障壁と独占禁止法]
 寡占の第3の問題は,企業どうしが結託することによって独占利潤を分け合おうとするインセンティブ(誘因)が存在することである。表2はゲーム理論で囚人のジレンマと呼ばれるケースである。このとき両企業は,相手の企業の行動に確信をもつことができなければ低価格を選ぶだろう。…

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