企業がその規模に見合った設備投資をしているかどうかをみる財務指標。長期固定適合率ともいう。工場や本社ビルなどの固定資産に投じた金額を、会社のなかに長期的にとどまっている資金でどの程度まかなっているかを示す。具体的には、貸借対照表にある固定資産額を、自己資本(株主資本、過去の利益の蓄積など)と固定負債(長期借入金や社債など)の合算額で割ったうえ100を掛けて算出する。単位は%。数値が低いほど財務の健全性が高いことを意味し、通常80%以下であれば良好とされる。
一般に固定資産は企業が事業を進めていくために使い、事業からあがる収益で回収される必要があるため、長期性資金(長期借入金、社債、株主資本など)でまかなうのが原則である。固定長期適合率が100%を超えると、設備資金の一部を短期借入金に依存していることを意味し、資金繰りが厳しくなっている状況を示す。日本の企業の場合、全産業平均で80%台、製造業平均では70%台にあるとされる。
固定資産は長期に使用するため、負債ではなく、自己資本でまかなうべきであるとの考え方が欧米では定着しており、固定資産を自己資本で割って算出する「固定比率」という概念を使うことが多い。ただ、電力会社や鉄鋼メーカーなどは膨大な設備投資が必要で、借入金に頼らざるをえない面がある。このために日本では産業の実態にあわせた財務指標として固定長期適合率を使う場合が多い。
[編集部]
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