(1)日本古代の僧官。702年(大宝2)諸国に置かれた。原則として各国1人。中央より派遣されて,国司とともに管内の僧尼・寺院の監督など宗教行政をつかさどった。奈良時代の後半には大国師,少国師に分かれ,員数が漸増したが,795年(延暦14)講師(こうじ)と改称された。(2)国家の師表たる高僧に与えられる称号。インド,西域においてこの称号が行われていたことは《出三蔵記集》などに見えるが,中国では北斉の法常がうけたのを最初とし,朝鮮や日本でも行われた。生存中に与えられるのを特賜(です),死後におくられるのを勅諡(ちよくし)という。日本では,1311年(応長1)円爾弁円が〈聖一国師〉,20年(元応2)約翁徳倹が〈仏灯大光国師〉の号をうけたのがそれぞれ勅諡・特賜の先例である。
執筆者:中井 真孝
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中世において国家の師表とすべき高僧に朝廷が贈った称号。1311年(応長元)円爾弁円(えんにべんねん)に下賜された聖一(しょういち)国師を初例とする。夢窓疎石(むそうそせき)は七朝国師とよばれた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…その後,645年(大化1)十師(じつし)に改まったが,律令制の施行にともない683年(天武12)僧正,僧都,律師からなる僧綱(そうごう)が成立した。これは中央の僧官であるが,701年(大宝1)諸国に国師が任ぜられ,地方の仏教界の統制にあたった。僧綱の構成員は,時代の経過とともに大僧正,僧正,大僧都,少僧都,律師に分かれ,国師は平安初期に講師(こうじ),読師に改称された。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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