精選版 日本国語大辞典 「国破れて山河あり」の意味・読み・例文・類語 くに【国】 破(やぶ)れて山河(さんが)あり ( 中国の杜甫の「春望詩」から ) 戦乱のために、国は滅びてもとの姿はなくなってしまったが、山や川だけは昔のままの姿をのこしている。[初出の実例]「国破れて山河あり、城春にして草青みたりと」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)平泉) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
故事成語を知る辞典 「国破れて山河あり」の解説 国破れて山河あり 戦争によって国が荒廃してしまったことを嘆くことば。また、人間の愚かな営みが、自然の前ではいかに無意味かを表すことば。 [使用例] 国破れて山河在りと往おう昔せきの詩人は歌ったが、私共旧東京人は国破れて山河も共に喪ってしまった[正岡容*滝野川貧寒|1948] [使用例] 稲葉山城下に入ったとき、この多感な男は、涙があふれてくるのをどうすることもできなかった。(……国破れて山河あり城春にして草木深し、とはこういう感傷をいうのであろう)[司馬遼太郎*国盗り物語|1963~66] [由来] 中国の詩人、杜と甫ほの詩「春しゅん望ぼう」の冒頭。七五五年、安あん禄ろく山ざんという武将の反乱によって、唐王朝の泰平の夢は破られました。反乱軍は、翌年には都を攻め落とし、皇帝までもが逃げ出してしまいます。そんな七五七年のある春の日、反乱軍の制圧下にあった都にいた杜甫が作ったのが、この作品。「国破れて山河在り、城春にして草木深し(都は戦乱で荒れ果たが、山や川は変わらぬまま。城壁にも春が訪れて、草木が生い茂っている)」とうたい始めた後、混乱した世の中を嘆き、離れ離れになった家族を案じ、最後に、そんな中で何もできないままに年老いていく我が身を悲しんで、終わっています。 [解説] ❶争いを繰り返しては死んでいく人間たちと、悠久の大自然。その対比をコンパクトに表現したこの一句は、昔から日本人にも愛されてきた、杜甫の絶唱。中でも、かの松尾芭蕉が「おくのほそ道―平泉」で引用しているのは、有名です。❷現代では、特に第二次世界大戦に敗れた後、空襲の焼け跡に立った多くの日本人たちが、この句を実感を込めて思い起こしたのでした。 出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
ことわざを知る辞典 「国破れて山河あり」の解説 国破れて山河在り 戦乱のために国は滅びても、山や川は昔と変わらない姿をとどめている。 [使用例] 国破れて山河あり……日本は負けた、しかし、日本はちゃんと残っている、滅びてやしないだろ[平岩弓枝*旅路|1967] [解説] 杜甫の詩「春望」の冒頭部分。第二次世界大戦に敗れた後、多くの日本人がこの一節を口ずさみ、またよく引用しました。古くは芭蕉が「奥の細道」に、これを引いた一文を添えて「夏草や兵つわものどもが夢の跡」の句を詠んでいます。 出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報