国際地役(読み)こくさいちえき(英語表記)international servitude

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国際地役
こくさいちえき
international servitude

国家間の合意によって他国の利益のために特定の国家の領域権に対して課せられる制限をいう。国際地役によって負担を課せられる国を承役国,負担を課せられる領域を承役地,それによって権利あるいは利益を得る国を要役国という。一般国際法上,国家の領域に課せられる制限 (たとえば自国領海内における外国船舶の無害通航権の承認) は自然制限と呼ばれ,国際地役とは区別される。国際地役は,要役国が承役国の領域を積極的に活用する権利を認められる積極的地役と,承役国に対してその領域内において一定の行為をなさしめない権利を有する消極的地役に区分される。前者の例としてイギリスが 18世紀以来の諸条約でアメリカ,フランスに与えた北大西洋沿岸の漁業権があり,後者の例としてベルサイユ条約によってドイツがライン川左岸に軍事施設の建設を禁止されたことがあげられる。

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デジタル大辞泉の解説

こくさい‐ちえき【国際地役】

他国の利益のために、条約によって自国領域の一部に課せられる特定の負担。他国軍隊の通行駐留など。

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世界大百科事典 第2版の解説

こくさいちえき【国際地役 international servitude】

条約により,他国の利益のために,ある国家の領域に課せられる負担。負担を課せられる領域を〈承役地〉,負担を義務づけられる国家を〈承役国〉という。これに対し,利益を受ける国家を〈要役国〉という。国際地役には,承役国が承役地に要役国の一定の権能を認める積極的地役と,承役国が要役国のために承役地で一定の権能の行使を控える義務を負う消極的地役がある。国際地役は条約によって課せられる負担であるから,承役国が承役地に要役国の軍隊の通過を認めるのは,積極的地役であるが,領海に外国船の無害通航を認める一般国際法上の義務は,国際地役ではない。

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大辞林 第三版の解説

こくさいちえき【国際地役】

条約によって、他国の利益のために、自国の領域の一部に課される特定の負担。他国軍隊の通行・駐留がその例。

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精選版 日本国語大辞典の解説

こくさい‐ちえき【国際地役】

〘名〙 他国の利益のために条約などによって、自国領の一部に課せられた負担(他国軍隊の通行、駐留など)。制限を受ける国を承役国、相手国を要役国という。〔国民百科新語辞典(1934)〕

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