無害通航(読み)むがいつうこう

百科事典マイペディアの解説

無害通航【むがいつうこう】

沿岸国の平和・秩序・安全を害さないかぎり,他国の領海内での船舶の航行が自由に認められる。これを無害通航といい,その権利は国際慣習法によって認められ(無害通航権),1950年のハーグ会議および1958年の領海条約においても確認された。沿岸国は領海内での外国船舶の無害通航を妨害したり,通航のために料金を徴収したりしてはならないが,無害でない通航を防止するために必要な措置をとることができる。また,他国の領海を航行する船舶は沿岸国の法令に従わなければならない。1982年の国連海洋法条約では無害通航の基準を明確にする観点から,無許可の軍事活動やスパイ活動,漁業活動,故意かつ重大な汚染行為など12項目にわたって無害通航に該当しない行為を列挙した。→国際海峡
→関連項目領空

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

無害通航

国連海洋法条約は、軍艦や公船を含むすべての国の船舶は沿岸国の平和や秩序、安全を害しない限り、他国の領海を自由に通過する権利を有すると定める。ただ、武力による威嚇や武力の行使▽兵器を用いる訓練▽沿岸国の安全を害する情報収集――などは「無害通航」とはみなされない。同条約は中国や日本を含め168カ国が締結している。

(2017-07-20 朝日新聞 朝刊 3総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

むがいつうこう【無害通航 innocent passage】

領海はいずれの国の船舶も通過できる。これは領海が公海に接続し,海上交通の通路であるため,慣習国際法によって認められてきたものであり,通過につき沿岸国の許可を要せず,また沿岸国がこの通過を拒否することはできない。ただし,そのためには,通航が沿岸国にとって無害なもの,すなわち,沿岸国の平和,秩序,安全を脅かさないものでなければならない。これを無害通航といい,無害通航をする権利を無害通航権という。また領海を通航する外国船舶は,沿岸国が国際法に従って制定した領海における無害通航に係る国内法令を遵守しなければならない。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

今日のキーワード

天泣

上空に雲がないにもかかわらず,雨が降る現象。風上にある雲からの雨であったり,雨が降ってくる間に雲が移動したり消えたりする場合などに起こる。天気雨,狐の嫁入りともいう。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

無害通航の関連情報