降った雨が土壌中に水分量としてどれだけたまっているかを示す指数。降った雨水は地表を流れる水と土壌中に浸透する水に分かれ、土壌中に浸透した水の大部分は土壌中にたまるが、崖(がけ)崩れなどの土砂災害は、土壌中の水分量が多いほど発生の危険性は高い。このため、気象庁では、対象地域に降った雨や数時間以内に降ると予想される雨が土壌中を通って流れ出るようすや、より深いところに浸透するようすを表現できるタンクモデルとよばれる手法を使い、1キロメートル四方の区画ごとの土壌雨量指数を求めている。そして、土壌雨量指数を各地の気象台が発表する大雨警報(土砂災害)や大雨注意報の判断基準や、大雨警報発表中に気象庁と都道府県が共同発表する土砂災害警戒情報等に用いている。土壌雨量指数そのものは降雨からみた相対的な土砂災害危険度を示した指標であっても、大雨警報等の発表基準は、過去の土砂災害発生時の土壌雨量指数等を調査したうえで求めていることから、「地盤の崩れやすさの違い」などもある程度反映したものになっていると考えられている。
気象庁の警報や注意報の発表基準は、原則として市町村ごと(東京都は区ごと)に設定されており、たとえば、東京都千代田区では(2019年5月29日時点)、大雨警報の発表基準は、表面雨量指数が34以上、または、土壌雨量指数が180以上、大雨注意報の発表基準は、表面雨量指数が18以上、または、土壌雨量指数が127以上である。また、土砂災害警戒情報については、崩れる崖等がない一部の自治体(たとえば、東京都では狛江(こまえ)市、武蔵野(むさしの)市、中央・墨田・江東(こうとう)・葛飾(かつしか)・江戸川・足立(あだち)の各区)を除いて、都道府県と気象庁が降雨事例や土砂災害発生事例のデータを加えて発表基準の見直しを絶えず行っている。さらに、大きな地震で揺れが大きかった地域では、地盤が脆弱(ぜいじゃく)になっている可能性が高いため、大雨警報や大雨注意報、土砂災害警戒情報の発表基準を通常より引き下げた暫定基準で運用することがある。
[饒村 曜 2020年3月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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