土居光知(読み)ドイコウチ

デジタル大辞泉 「土居光知」の意味・読み・例文・類語

どい‐こうち〔どゐクワウチ〕【土居光知】

[1886~1979]英文学者。高知の生まれ。東北大教授西洋文学知識から日本文学研究に新しい領域と方法を開拓した。著「文学序説」「英文学の感覚」など。

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精選版 日本国語大辞典 「土居光知」の意味・読み・例文・類語

どい‐こうち【土居光知】

  1. 英文学者、古典学者。高知県出身。東北大教授。文学の原始の姿や、叙事詩叙情詩物語、劇などの展開を追究して、独自の論を提示した。著に「文学序説」「古代伝説と文学」など。明治一九~昭和五四年(一八八六‐一九七九

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20世紀日本人名事典 「土居光知」の解説

土居 光知
ドイ コウチ

大正・昭和期の英文学者,古典学者 東北大学教授;津田塾大学教授。



生年
明治19(1886)年8月29日

没年
昭和54(1979)年11月26日

出生地
高知県長岡郡十市村(現・南国市十市)

学歴〔年〕
東京帝大文科大学英文科〔明治43年〕卒

主な受賞名〔年〕
読売文学賞(第36回 研究翻訳学)〔昭和36年〕「古代伝説と文学」

経歴
東京女子大や東京高師の教授をしながら欧米に留学。帰国後、大正13年東北帝大教授に迎えられ、英文学のみならず西欧の新しい文学理論によって日本文学を研究し直し、国語学はじめ日本の英文学や言語学にも多大な影響を与えた。昭和23年定年退官、津田塾大学教授。24年学士院会員。数多くの著作のうち大正11年の「文学序説」は比較文学、文化史の方法により、日本文学は叙事詩、抒情詩、物語、演劇評論の4段階が3回反復されるという仮説を提示して文学研究に刺激を与えた。また、昭和11年の「基礎日本語」はオグデンの「基礎英語」に啓発されて1000余の語彙で日本語表現を試みた画期的なもの。このほかシェイクスピア」「英文学の感覚」「評伝D.H.ロレンス」「日本音声の実験的研究」「古代伝説と文学」「文学の伝統交流」「神話・伝説の研究」などの著書がある。チャタレー裁判では弁護側証人を務めた。「土居光知著作集」(全5巻 岩波書店)もある。

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改訂新版 世界大百科事典 「土居光知」の意味・わかりやすい解説

土居光知 (どいこうち)
生没年:1886-1979(明治19-昭和54)

英文学者。高知県に生まれ,東京帝国大学英文学科を卒業。東京高等師範教授を経て,東北帝国大学教授となる。イギリス・ロマン派詩人やW.ペーターの研究から出発したが,J.G.フレーザーの《金枝篇》やG.G.A.マレー,J.E.ハリソンの著述など文化人類学,比較神話学から影響を受け,日本古典文学を広い文学類型学の立場から考究した《文学序説》(1922)は,のちの欧米の神話批評理論,構造主義文学理論に一歩先んじたものである。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土居光知」の意味・わかりやすい解説

土居光知
どいこうち

[生]1886.8.29. 高知,十市
[没]1979.11.26. 東京
英文学者,古典学者。第三高等学校を経て 1910年東京大学英文科卒業。立正大学,東京女子大学,東京高等師範学校で英文学を講じ,48年東北大学教授退官。 P.シェリー,W.ブレークらイギリスのロマン派詩人を研究,個々の作品に具体化される以前の感覚の問題を重視して『英文学の感覚』 (1935) を発表,さらに『評伝 D.H.ロレンス』 (36) によってロレンス研究の流行を生み出すなど,昭和初期の文学運動に新しい刺激を与えた。また『文学序説』 (22) は東西文学の始源をたどり日本文学研究に新生面を開いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「土居光知」の意味・わかりやすい解説

土居光知
どいこうち
(1886―1979)

英文学者。高知県に生まれる。東京帝国大学英文科卒業。シェリー、ブレイクらロマン派詩人の研究や近代の文芸批評の系列をたどって批評精神を追究、ジョイス、ローレンス、ハクスリーらを紹介するなど、英文学研究に業績を残した。また『文学序説』(1922)では、外国文学の知識から日本文学研究に新しい領域と方法を開拓、とくに比較神話学、人類学の知識による文学起原論、日本文学の類型と展開の説は、未開の分野を拓(ひら)いたものである。

[山中信夫]

『『土居光知著作集』全五巻(1977・岩波書店)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「土居光知」の解説

土居光知 どい-こうち

1886-1979 大正-昭和時代の英文学者,古典学者。
明治19年8月29日生まれ。東京女子大教授などをへて,大正13年東北帝大教授,のち津田塾大教授。ロマン派の詩人を研究し,ジョイス,ローレンスらを紹介。文化人類学,比較神話学の手法をとりいれて日本古典文学を分析,「文学序説」「古代伝説と文学」などをあらわした。昭和54年11月26日死去。93歳。高知県出身。東京帝大卒。

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百科事典マイペディア 「土居光知」の意味・わかりやすい解説

土居光知【どいこうち】

英文学者,日本古典文学研究者。高知県生れ。東大英文学科卒。ロマン派を中心に幅広い英文学研究の業績がある。《文学序説》(1922年)において,文化人類学と比較神話学に基づく方法により,東西文学を比較研究,東西文学の類型を抽出するとともにその展開を示し,日本文学研究の独自の方法と領域を提示して反響を呼んだ。戦後の代表作に読売文学賞を受賞した《古代伝説と文学》(1960年)。

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367日誕生日大事典 「土居光知」の解説

土居 光知 (どい こうち)

生年月日:1886年8月29日
大正時代;昭和時代の英文学者;古典学者。東北大学教授;津田塾大学教授
1979年没

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世界大百科事典(旧版)内の土居光知の言及

【基礎語彙】より

…さらに,計画的・系統的に制限された語彙だけで,すべてのことを一応表現できるよう考案されたものをふつう〈基礎語彙〉といい,C.K.オグデンのベーシック・イングリッシュ(850語)が有名である。これにならい日本では英文学者の土居光知が1933年,《基礎日本語》(1000語,のち100語追加)を発表した。 これとは別に,アメリカの言語学者スワデシュMorris Swadesh(1909‐67)は1950年に〈基礎語彙〉の名を用いて,彼のいわゆる〈言語年代学glottochronology〉における核心的語彙,すなわち,社会的激変によってもあまり変動しない部分をさし,これは言語の差異にもかかわらず変化の速度が一定であるとの仮説を立てた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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