改訂新版 世界大百科事典 「地代家賃統制令」の意味・わかりやすい解説
地代家賃統制令 (ちだいやちんとうせいれい)
地代・家賃の額を統制する勅令で,1952年以降法律と同一の効力をもつものとされていたが,1986年末に廃止され失効した。当初,1939年に国家総動員法に基づく勅令として制定され,翌40年改正されたが,戦後,国家総動員法の廃止にともないあらためてポツダム勅令として制定された(1946)。一般に賃貸借契約における地代・家賃は,賃貸借の当事者間の合意により定まるものであり,また賃借目的物によって事情が異なるため,その統制は技術的にも難しく,非常時にしか行われないが,日本では,戦時下の経済統制立法の一環として地代家賃統制令が制定され,それが戦後の住宅難に対処するものとして制定しなおされた。1950年7月以降新築された建物等には適用されないなど適用除外の範囲が広く適用はきわめてわずかであった。統制額は毎年改訂されてきたが,市場価格とはかなりかけはなれていて実情にあわないとして1986年末限りで廃止され失効した。
執筆者:山田 卓生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報