〘名〙
[一]
① 中庭。建物の間や垣根の内側などにある庭をさしていう。周囲を囲まれていて、一段低くなっているところを、「壺」に見立てて呼ぶとも云われ、動詞「つぼむ」などと関係があるともいわれる。
※枕(10C終)八七「けふ雪の山作らせ給はぬ所なん無き、御前(おまへ)のつぼにも作らせ給へり」
② 転じて、宮中の部屋をいう。宮中の部屋にはそれぞれに内庭があり、そこに植えられた草木の名称から、その庭や庭に面した部屋を呼んだところからいう。つぼね。
※古今(905‐914)秋上・一九〇・詞書「かむなりのつぼに人々あつまりて秋の夜惜しむ歌よみけるついでによめる」
③ 格子(こうし)のます目。桟(さん)で囲まれた一つの部分。一こま。
※枕(10C終)二〇〇「格子のつぼなどに木の葉をことさらにしたらんやうに」
[二] 面積などを表わす単位。
① 土地の面積の単位。近世以降では一間四方。曲尺で六尺平方。約三・三平方メートル。明治二四年(一八九一)になって度量衡法に「歩は坪六尺平方」と規定された。〔大乗院寺社雑事記‐文明九年(1477)一二月三〇日〕
② 錦、更紗、革など、貴重な平面状のものを計るのに用いる単位。一尺平方、もしくは一寸平方をさしていう。
※書紀(720)持統四年四月(北野本訓)「一部(ヒトツホ)の綾羅(あやうすはた)」
③ 印刷製版の上で、版面の面積をいうのに用いる単位。一寸平方。〔造本と印刷(1948)〕
④ りゅうつぼ。土砂などの体積をはかる単位。六尺立方。約六・〇立方メートル。
⑤ 材木の量をはかる単位。六尺・四尺・三尺に積み上げた材木の量をいう。約二立方メートル。
[三] 条里制における土地の地割の単位。
① 条と里(り)によって仕切られた方六町の区画(里)の各辺を六等分して仕切った区画、すなわち、一里を三六等分した区画の称。そのおのおのを、一の坪、二の坪、三六の坪のように数字を冠してよぶ。その数字の配置の方法には千鳥(ちどり)式と平行式の二種があった。一坪の面積は一町(約一・二ヘクタール)となる。〔東寺文書‐礼・天長二年(825)一一月一二日・尾張国検川原寺田帳〕
② 方一町の区画のこと。〔安藤文書‐弘仁一一年(820)一〇月一七日・大和国川原寺牒〕