堺奉行(読み)サカイブギョウ

デジタル大辞泉 「堺奉行」の意味・読み・例文・類語

さかい‐ぶぎょう〔さかひブギヤウ〕【×堺奉行】

江戸幕府職名遠国奉行の一。の市政・訴訟を担当し、港湾・船舶の事務を処理した。

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精選版 日本国語大辞典 「堺奉行」の意味・読み・例文・類語

さかい‐ぶぎょうさかひブギャウ【堺奉行】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 豊臣氏が堺に置いた職名。堺代官堺政所
    1. [初出の実例]「元来堺奉行杢頭壱万石の身上にて候へ供当座御座被成候にせはくもなく候」(出典:慶長記(江戸前)上)
  3. 江戸幕府の職名。堺の市政をつかさどり、訴訟を裁断し、港津に関する事務を処理した。はじめ織豊時代の名を踏襲し、堺代官、また堺政所といったが、貞享・元祿(一六八四‐一七〇四)の頃を境としてこの名称に改まる。老中支配に属し、配下与力一〇騎、同心五〇人を従えた。堺政所。
    1. [初出の実例]「堺奉行一人。住堺津、掌彼地一切事之職也」(出典:東職紀聞‐一(古事類苑・官位七四))

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改訂新版 世界大百科事典 「堺奉行」の意味・わかりやすい解説

堺奉行 (さかいぶぎょう)

近世,堺に置かれた江戸幕府の遠国(おんごく)奉行一つ。堺政所ともいう。織田信長は堺の町を屈伏させた後,松井友閑を政所に任じ,豊臣秀吉も石田三成ら腹心の吏僚を任じ,堺および河内,和泉の直轄地を支配させた。徳川家康もこの政策を継承し,1600年(慶長5)米津(よねきづ)親勝と成瀬正成を任じた。大坂を幕府直轄地とした17世紀前期には喜多見勝忠が摂河泉の奉行を兼ね,17世紀中期の石河(いしこ)勝正・利正父子は畿内の幕領支配に大きな権限を有する国奉行でもあり,支配国は和泉であった。しかし17世紀後期には堺の経済的地位の低下に伴い,堺奉行の当初有していた周辺農村の支配権は失われ,権限も縮小された。96年(元禄9)いったん廃止されたが,1702年に復活。22年(享保7)以降の権限は,堺および一部の寺社の公事(くじ)訴訟,和泉幕領の火付,盗賊,変死等の詮議,和泉一国の女手形の発行等だが,上級支配権は大坂町奉行にあった。老中支配。奉行は1名,1000石,役料600石,与力10騎,同心50人。
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百科事典マイペディア 「堺奉行」の意味・わかりやすい解説

堺奉行【さかいぶぎょう】

江戸幕府の遠国(おんごく)奉行の一つ。織田信長が1570年堺政所を置いたのが初め。豊臣秀吉も堺と河内(かわち)・和泉(いずみ)の直轄地を支配させた。江戸幕府もこれを継承,17世紀前期に堺奉行と改称。一時期は和泉国を支配し,大きな権限を有する国奉行でもあったが,堺の経済的地位の低下により権限が縮小,一時廃され(大坂町奉行が兼務)たが,1722年以降は堺町内及び一部の寺社の公事訴訟,和泉国幕領の刑事事件の詮議などにあたった。定員1名,老中支配,役高1000石,役料600石。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「堺奉行」の意味・わかりやすい解説

堺奉行
さかいぶぎょう

和泉(いずみ)国堺(大阪府堺市)に置かれた江戸幕府遠国(おんごく)奉行の一つ。老中(ろうじゅう)の支配下にあって、原則として知行高(ちぎょうだか)1000石以上3000石以下の旗本のなかから選任された。任期は定まらず、下僚として与力(よりき)10騎、同心50人がいた。1600年(慶長5)成瀬正成(なるせまさなり)、米津清右衛門(よねきつせいえもん)両人が堺政所(まんどころ)に補せられたのに始まる。定員は1名であるが、1696年(元禄9)に一時廃止され大坂町奉行が兼務したが、1702年に再置、以後幕末まで続いた。奉行屋敷は、車之町山口筋と殿馬場(とのばば)との間にあった。職務は堺南北両郷の一般民政のほか、廻米(かいまい)、消防、警察、糸割符(いとわっぷ)、株仲間(かぶなかま)、河川、寺社などを管掌した。あわせて当初には和泉一国をも支配した。

[藪田 貫]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「堺奉行」の解説

堺奉行
さかいぶぎょう

江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。初期には堺政所と称した。堺の町政を行い,大坂町奉行とともに和泉一国の政務をとり,堺港に入る船舶・荷物も点検した。定員1人。開幕以前からおかれ,1696年(元禄9)に一時大坂町奉行の兼職となったが,1702年再設置。38年(元文3)に制定された役高は1000石,役料1500俵。老中支配,芙蓉間席で,従五位下。付属する与力ははじめ6騎のち10騎,同心ははじめ40人のち50人。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「堺奉行」の意味・わかりやすい解説

堺奉行
さかいぶぎょう

江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。堺の町政を司り,港湾を管理した。堺にはもと堺政所 (まんどころ) があって代官が政治を行なっていたが,幕府が元和4 (1618) 年堺を直轄領にして堺奉行と改めた。元禄9 (96) 年に一時廃止されたが,すぐに再興され幕末まで存続した。

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