内陸にある湖沼で,湖水1l中に総塩分量が0.5g以上含まれるもの。塩湖または鹹湖(かんこ)ともいう。これ以下のものを淡水湖,海水の浸入による塩分の多い湖を汽水湖と呼ぶ。塩湖の分布はアフリカ東部,アナトリア高原,オーストラリア,北アメリカ西部等に多く,南極地方にも存在する。死海,グレート・ソルト湖,カスピ海などが知られる。成因として,湖水が濃縮されたものと,高塩分の流入水が存在するものの二つになる。地域的には前者は乾燥地域に,後者は火山地域やCa,Mgの塩の多い地域にみられる。乾燥地域の塩湖の特色として流出口のないものが多いが,これは,湖水への流入水にほぼ相当する量が湖面から蒸発するためで,この結果,湖水は少しずつ濃縮されて塩湖となる。火口湖の中には流出口のないものも多いが,これは蒸発と地下浸透によって湖水が失われるので塩湖とはならない。流出口がないことは雨季と乾季または長期の降水量の変動によって湖面の水位変化を大きくしている。オーストラリアのエア湖などは,時には湖が消滅することもある。乾燥が続いて蒸発濃縮の進んだ湖では,湖水がなくなり乾湖(プラヤplaya)となることもある。塩分が300g/lを超える湖もあり,その成分は,陽イオンとしてはNa,K,CaおよびMg,陰イオンとしてはCl,SO4,HCO3およびCO3が大部分を占める。濃縮される過程で,湖水中の成分は一般にHCO3,CO3,SO4,Clの順に変化していく。湖水はアルカリ性を示すことが多く,アフリカ東部ケニアのナクル湖はpH12で世界一の強アルカリ性の湖である。塩湖の湖底堆積物はCa,Mg,Naなどの塩からなり,古くから有用な鉱物として利用されてきた(死海など)。深層部ほど塩分が多いため年間を通して深層の水が循環せず,無酸素層を生じやすい。また湖水の表面下で最高水温を示す湖もあり,南極のバンダ湖のように表面が結氷していても底層水温が25℃もある湖もある。日本では降水量が年中蒸発量を上回るため,蒸発濃縮による塩湖はなく,裏磐梯の青沼(1.491g/l)などのように火山地域の高塩分の流入水による塩湖が若干みられる。
執筆者:堀内 清司
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[化学的性質]
溶存成分は,その湖の周辺の地質や気候的条件により大きな変化を示す。溶存成分の量が500mg/l以下の湖は淡水湖,それ以上を塩水湖とする。また海水の侵入する湖を汽水湖と呼ぶ。…
※「塩水湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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