売買婚(読み)ばいばいこん(英語表記)purchase marriage

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

売買婚
ばいばいこん
purchase marriage

婚姻の成立の条件として、花婿側から花嫁側の親族に、家畜や、しばしば現金の形でさまざまな財貨が贈られるという制度は、アフリカをはじめ多くの地域にみられるが、この制度を誤って花嫁の売買であると考えたところから生じた名称である。実際には婚資のやりとりは、婚姻によって結ばれた二集団の友好関係を永続的なものにする一連の交換行為の一部であり、支払いの完了とともに当事者間の関係が消滅する市場での売買取引とは対照的な性格をもっている。この事実によっても、売買婚という名称が明らかに不適当なものであることがわかる。

[濱本 満]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ばいばい‐こん【売買婚】

〘名〙 原始的婚姻形態の一つ。女が男の側に移る際、その属する家族(親族)に代価が支払われる。広く未開民族にもみられた。
※わが新開地(1922)〈村島帰之〉一三「売買婚の行はるる当時にあっては〈略〉容易く美人を我物とする事も出来ますが」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

売買婚
ばいばいこん
purchase marriage

購買婚ともいう。婿から側に物品または金銭を贈ることで嫁を引取る権利を得る婚姻方式。財産の権利が発達した社会におけるこのような嫁の取引を売買婚とみなす傾向があったが,実際には普通,相互的な贈与,奉仕が行われ,は妻を品物のように自由に売ったりはできない。この慣行は嫁を与えた側の社会的損失を婿側が経済的に償うもの,すなわち「花嫁代償」というほうが適当である (→婚資 ) 。

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