永住資格(読み)えいじゅうしかく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「永住資格」の意味・わかりやすい解説

永住資格
えいじゅうしかく

外国人に対する在留許可の一つで、もっとも有利な在留資格。世界各国における外国人に対する在留許可制度には、(1)一定の期間に限り、かつ特定の在留活動に限って在留を認めるもの、(2)在留の期間を無制限とし、かつ収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動に制限のない在留を認めるものとに分けるのが一般的で、(1)を非永住資格(非永住者をnon-immigrant)、(2)を永住資格(永住者をimmigrantまたはpermanent resident)とよんでいる。

 日本における永住資格には、「出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」と略称)」別表第二に定める「永住者」、ならびに「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(以下「特例法」と略称)」第3条に定める「法定特別永住者」、および第4条、第5条に定める「特別永住者」がある。

 入管法上の永住資格とは、別表第一および第二に掲げる27種類の在留資格の一つとして、別表第二に「永住者」として掲げられている。入管法上の「永住者」と、その他の在留資格にはおもに以下のような相違点がある。

(1)在留期間は無制限。

(2)在留活動について制限はない。ただし入管法以外の法律で禁止されている職につくことはできない。

(3)入国に際し「永住者」として上陸申請することはできないが、日本に相当期間在留したのちに在留資格の変更を申請することができる。「永住者」への在留資格の変更を受ける場合、(a)素行善良であること、(b)独立生計維持能力を有すること(被扶養者の場合は扶養する者に独立生計維持能力があれば足りる)、(c)健康であること、(d)確実な身元保証人がいること、などの要件を満たすことが求められる。

(4)入管法第24条に定める退去強制事由に該当し、退去強制手続がとられた場合でも、法務大臣裁決の特例により在留特別許可を受けることができる。

 特例法上の永住資格とは、第二次世界大戦が終結した1945年(昭和20)9月2日以前から引き続いて本邦に在留する朝鮮半島および台湾出身者、ならびにそれらの子孫で本邦で出生し引き続いて本邦に在留する者に付与される永住資格である。宣言的(申請手続を要せず、法律の定めにより自動的)に資格が付与される「法定特別永住者」(特例法第3条)と、覇束的(裁量余地なく、法定の要件に該当すれば必然的)に資格が付与される「特別永住者」(特例法第4条、第5条)とがある。これら特別永住者は、入管法上の在留資格とは異なる法的地位で、その名のとおり特別の法律に基づいて付与される。特例法上の「法定特別永住者」および「特別永住者」と、その他の在留資格にはおもに以下のような相違点がある。

(1)在留期間は無期限。

(2)在留活動について制限はない。ただし入管法以外の法律で禁止されている職につくことはできない。

(3)入管法第24条に定める退去強制事由の適用はなく、特例法第9条に定める四つの退去強制事由に限定される。

(4)再入国許可の有効期間は4年以内。ただし有効期間内に再入国できない相当な理由がある場合は1年を超えない範囲内で有効期間延長が可能。

 2009年(平成21)7月15日「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」が公布され(施行は2012年7月から)、外国人登録法を廃止するとともに、中長期在留者(永住者を含む)には「在留カード」、特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されることとなった。また、再入国許可の有効期間が、5年(特別永住者については6年)に伸長された。同時に「住民基本台帳法」が改正され、永住者等中長期在留者、特別永住者は住民基本台帳法の適用を受けることとなった。

[黒木忠正]

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