大地の歌(読み)ダイチノウタ

デジタル大辞泉 「大地の歌」の意味・読み・例文・類語

だいちのうた【大地の歌】

原題、〈ドイツDas Lied von der Erdeマーラー独唱付き交響曲。1909年作曲。テノールアルト(またはバリトン)を伴う。歌詞ハンス=ベートゲが中国唐代の詩人李白孟浩然王維らの詩をドイツ語翻訳・編集した詩集「中国の笛」に基づく。

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百科事典マイペディア 「大地の歌」の意味・わかりやすい解説

大地の歌【だいちのうた】

マーラーの交響曲。《Das Lied von der Erde》。1908年に作曲され,作曲者の死後まもない1911年にB.ワルター指揮で初演された。アルト(またはバリトン)とテノールの独唱を伴う6楽章の作品で,詩は李白孟浩然王維などの漢詩をハンス・ベートゲ〔1876-1946〕が独訳したものから選ばれている。奇数楽章がテノール,偶数楽章がアルト独唱。同じくワルターによって初演された《交響曲第9番》(1909年−1910年,初演1912年)とともにマーラーの総決算ともいえる作品。のちにツェムリンスキーは,同様(独唱はソプラノとバリトン)の編成で7楽章の《抒情交響曲》(1923年)を書いた。→第九交響曲マンドリン
→関連項目フェリアーブンダーリヒ

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改訂新版 世界大百科事典 「大地の歌」の意味・わかりやすい解説

大地の歌 (だいちのうた)
Das Lied von der Erde

G.マーラーの,2人の独唱者(テノール,アルトまたはバリトン)を伴う交響曲。マーラーは,ハンス・ベートゲが漢詩をドイツ語に翻訳し編纂した詩集《支那の笛》を読んでこの曲を着想した。李白,孟浩然,王維らの詩をテキストにした6楽章からなり,マーラーの死の3年前,1908年に作曲された。彼のペシミスティックな思想東洋の詩の幻想的な世界を通じて美しく表現されている。作曲者の没後まもない11年11月ミュンヘンでB.ワルターの指揮で初演された。日本初演は41年,東京で木下保,四家文子の独唱,J.ローゼンストック指揮の新交響楽団によって行われた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大地の歌」の意味・わかりやすい解説

大地の歌
だいちのうた
Das Lied von der Erde

オーストリアの作曲家マーラーが晩年に作曲した「テノールとアルト(またはバリトン)声部およびオーケストラのための交響曲」(副題)。連作歌曲と交響曲双方の性格をみごとに共存・融和させた作品である。『中国の笛』(ハンス・ベートゲ編訳)から李白(りはく)、王維(おうい)、孟浩然(もうこうねん)、銭起(せんき)の詩を選んで六楽章を構成。全体に世紀末のペシミズムと耽美(たんび)主義が支配し、それが東洋的な無常観と結び付いて独特の効果をあげている。1911年5月マーラーは没し、同年11月ブルーノ・ワルターの指揮でミュンヘンで初演された。

[三宅幸夫]

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デジタル大辞泉プラス 「大地の歌」の解説

大地の歌

オーストリアの作曲家グスタフ・マーラーの独唱付き交響曲(1908-1909)。原題《Das Lied von der Erde》。副題は『テノールとアルト(またはバリトン)声部およびオーケストラのための交響曲』。歌詞は中国唐代の詩人、李白、王維、孟浩然らの詩に基づくことで知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の大地の歌の言及

【マーラー】より

…歌曲では,民謡詩集《少年の魔法の角笛》による多数の歌曲,そして《亡き子を偲ぶ歌》(1901,04)などのリュッケルトの詩による後期の歌曲などがあるが,彼の音楽の真髄は生涯に残した10曲の巨大な交響曲にある。そこには6編の歌曲からなる《大地の歌》(1908)や,ラテン語とドイツ語のテキストによる膨大な《第8番》(1906)いわゆる《千人の交響曲》などの異色の作品が含まれている。彼は交響曲の形式で自己の包括的な世界観を表現しようとし,伝統的形式にとらわれることなくあらゆる手段を用いて交響曲の表現領域の拡大をはかった。…

※「大地の歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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