デジタル大辞泉
「大淀川」の意味・読み・例文・類語
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おおよど‐がわおほよどがは【大淀川】
- 宮崎県、都城(みやこのじょう)盆地南部の山地に発して東流し、宮崎市を貫流して日向灘に注ぐ川。全長一〇七キロメートル。
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大淀川
おおよどがわ
宮崎市の市街地を南北に分断して日向灘に注ぐ県下最大の一級河川。幹川の流路延長約八五キロ。「日向地誌」には赤江川として「古ハ赤井川トモ言今或ハ大淀川ト呼フ」と記される。中世から近世にかけて当川河口の湊を赤江と称したことから、赤江川あるいは赤井川とよばれたようだが、元禄国絵図にはすでに大淀川の表記がみられる。いつ頃大淀川に呼称の統一がなされたのか不詳であるが、明治一九年(一八八六)の統計及内務報告(県庁文書)の河川ノ脈絡の項には明治一六年調べとして大淀川と明記されている。明治一六年は宮崎県再置の年で、置県を機に河川の名称の統一を図る関係から大淀川に定められたとも考えられる。河川ノ脈絡には大淀川の支流として二〇流(現在は一二六流)が記載されるが、現在も呼称の変わっていないものは萩原川・東嶽(東岳)川・沖水川・年見川・横市川・有水川・岩瀬川・秋社川・本庄川・大谷川・浦之名川・高崎川・炭床川の一三流で、いずれも一次支流である。なお現在の一次支流は三五流ある。
〔流路と流域〕
大淀川本流の源流域は都城盆地南部の山地で鹿児島県曾於郡末吉町に属する。川はここから都城盆地を貫流、途中で沖水川・庄内川・高崎川など周辺山地から流れ出す多くの支流を合せながら北流する。盆地の出口は高城町域となるが、ここから宮崎平野の入口にあたる高岡町までのおよそ二五キロは山地に深い谷を刻んで流れる。この付近は青井岳を中心とする山地の縁辺部と霧島山の山脚、小林盆地から東に延びるシラス台地などの接点となる部分で、川はこの区間で一気に高度を下げる。この区間の上流部にある急流観音瀬は「石夾み峙ち、激水隙に潭をなし」(三国名勝図会)の状態が連続する所で、高岡町辺りまでは「急流にて、水勢迅奔する箭の如し」(同書)であった。
急流の尽きる位置にあるのが高岡町去川地区で、江戸時代には検問の厳しさで知られた去川関所が置かれていた。大淀川が沖積平野を広げはじめるのは高岡町の中心集落辺りからで、谷口集落的性格をもつ高岡町は江戸時代には軍事的にも枢要の地であることから、鹿児島藩の麓集落として発展した。大淀川水運を利用して赤江湊(現宮崎市)との往来も活発で、高岡郷の野町として町家が軒を連ね、部当による町政が行われた。宮崎市の倉岡地区で本庄川を合流した大淀川は、沖積平野をさらに拡大しその上に宮崎市街が形成されている。
〔古代・中世〕
古代末期から中世にかけて大淀川上流域には島津庄、中流域には豊前宇佐宮領の宮崎庄や浮田庄(現宮崎市)など、下流域南岸には八条女院領の国富庄などが成立していた。
大淀川
おおよどがわ
末吉町南之郷を水源とし、日向灘に注ぐ一級河川。同町中央部で村山川・湯之尻川を合せた後、北流して都城盆地へ向かい、鰐塚山地や霧島山系から流れ出る諸河川を集めてさらに北流、九州山地に源を発し小林盆地を貫流する岩瀬川と合流してからは東へ向かい、浦之名川・本庄川を合せて南東へ流れ、宮崎平野を貫流する。南九州では川内川と並ぶ大河で、延長一〇七キロ、流域面積二二三〇平方キロ。流域の大半が宮崎県域であるが、「三国名勝図会」の末吉の条に南郷川としてみえ、「水源は大裏村橘岳山中より出て、中裏村をすぎ、都城邑へ出づ、上流にては中津瀬川といふ、伊弉諾尊の祓除をなし玉ひし処なり」とある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
大淀川 (おおよどがわ)
宮崎県中部の宮崎市を貫流して日向灘に注ぐ川。幹川流路延長107km,全流域面積2230km2。上流は都城(みやこのじよう)盆地南部の標高500m内外の山地に源を発して,東側から萩原川,沖水川,西側から横市川,庄内川などを合して盆地内を北流する。盆地北部の標高350m内外の山地を約10kmにわたって浸食し,西方の小林盆地を排水して東流する岩瀬川を合わせて東に曲がり,宮崎市の旧高岡町を経て宮崎平野の広い沖積地を形成し,同市中部で北西から流れる本庄川を合流して日向灘に注ぐ。この川の上流には都城市,小林市,下流には宮崎市があって,かつては流域の市町村人口の合計は県総人口の約半分を占めており,県の中心的河川である。江戸時代には河口南岸の赤江港は貿易港として栄え,同港に続く城ヶ崎は繁華街を形成したが,堆積物によって河口が浅くなり,港の機能を失った。対岸の砂浜に掘込み式の1万5000トンの船舶の出入りができる宮崎港が開港し,南九州の流通の一拠点をなしている。この川には九州電力の水力発電所(合計最大出力14.6万kW)(1997)があり,県営の岩瀬川総合開発事業(洪水予防,発電),綾川総合開発事業がある。綾川水系は綾北川,綾南川のダムで5.3万kWを発電(1997)し,洪水予防のほか灌漑用水として約2000haの田畑をうるおしている。
執筆者:下村 数馬
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大淀川
おおよどがわ
宮崎県最大の川。一級河川。都城盆地(みやこのじょう)南部の標高500メートル前後の南那珂(みなみなか)山地に源を発し、盆地を北流したのち、東流して宮崎平野を形成し、日向灘(ひゅうがなだ)に注ぐ。延長107キロメートル、流域面積2230平方キロメートル。長さに比べて流域面積が大きいのは、都城、小林両盆地を含むためで、本庄(ほんじょう)川、萩原(はぎわら)川、沖水(おきみず)川、庄内川、岩瀬川など多くの支流を抱えている。上流部はシラス台地を侵食し、中流部の都城盆地から宮崎平野に達するところでは横谷を形成している。宮崎平野では宮崎市街地を貫流し、自然堤防、後背湿地のほか、旧流路も認められる。河口は砂州、砂丘の発達が著しい。河口の赤江(あかえ)地区は大正ごろまで河港として栄え、上流の高岡まで舟運があった。河川利用は、農業、発電用水と上水道がおもなものである。
[横山淳一]
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大淀川
おおよどがわ
宮崎県南部を東流する県下最長の川。全長 107km。鹿児島との県境,都城盆地南部,鰐塚山地に源を発し盆地を北流,小林盆地から東流した岩瀬川を合せて東に向きを変え,下流部で本庄川を合流して日向灘に注ぐ。下流域に宮崎平野を形成。流域は多雨地域で,梅雨や台風による豪雨は,しばしば下流域に洪水をもたらした。県では岩瀬川流域や,本庄川上流の綾川流域で総合開発事業を興して多目的ダムを完成,洪水予防と発電とに大きな役割を果している。
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