精選版 日本国語大辞典 「綾」の意味・読み・例文・類語
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現綾町一帯に比定される。貞和五年(一三四九)一二月一四日の右衛門尉某書下(郡司文書)に、諸県庄内の「綾裏」の所務職に那珂九郎(盛連)が任じられている。盛連は同年諸県庄内三ヵ名の預所にも任ぜられており(同年一二月一四日「沙弥某書下」同文書)、綾裏は諸県庄の中心の一つであった。一方貞和六年一二月三日、小山田二郎左衛門尉は諸県本庄八反とともに綾公文跡を宛行われている(「某宛行状写」小山田文書)。那珂氏が上位の預所で、小山田氏は綾の公文を担う関係になっていたであろう。永徳三年(一三八三)伊東氏から安堵されたとみられる綾内の小山田氏給分坪付写(同文書)には、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
織物の三原組織の一つである斜文(しゃもん)組織をさすのが現代的解釈であるが、これとは別に、経(たて)糸と緯(よこ)糸の組合せの変化で、地と文様とが異組織になっている紋織物の一種とすることがある。
この綾の発生は中国がもっとも古く、遺物として、殷(いん)中期の殷墟(いんきょ)出土と伝える斧(おの)(鉞(えつ))に銹着(しゅうちゃく)する四枚綾で菱文(ひしもん)を表す絹帛裂(けんぱくぎれ)がある。漢代に入ると平地浮文綾が発展を遂げ、シルク・ロードを通り西方世界へ送られたが、シリアのパルミラでは漢代の綾が多数出土する。
この技法は中国南部より5世紀後半に日本へ伝来したらしい。後期古墳出土の金属製品に銹着する綾が、東京都亀塚(かめづか)古墳、栃木県三昧塚(さんまいづか)古墳から出土し、いずれも平地綾文綾からなる。7~8世紀には隋(ずい)・唐の織物技術導入により飛躍的発展を遂げ、法降寺・正倉院裂には四枚綾の平地浮文綾、平地綾文綾、綾地綾文綾など多様な綾がみられ、簡単な幾何学文様から、西方的モチーフの天馬(てんま)、獅子(しし)などをもつ絵画的文様まで織り出している。この綾生産は和銅(わどう)年間(708~715)に中央だけでなく地方へも拡大された。ところで、重厚な四枚綾系の組織は、やがて三枚綾、六枚綾系の浮きの長い柔軟な組織へと転化していく。これらは古代末期から国産化に成功した唐(から)綾とよぶものにあてはまるかもしれない(明月記)。さらに織部司(おりべのつかさ)の伝統を引く舎人(とねり)の綾が著名で、のちに座をつくり独占的生産を維持した。応仁(おうにん)の乱(1467~1477)で京都の織物生産は衰退するが、新しく中国(明(みん))の織物技術が移入され、朱子(繻子)(しゅす)織を主体とした緞子(どんす)、綸子(りんず)などが増加し、綾によるものは少なくなり、伝統的な有職(ゆうそく)織物におもかげをとどめるだけになった。明治以後の西欧近代技術による綾織物は、これらの綾とは別に、綾織として取り扱われる。
また綾は、交錯するということから、経糸を開口させる綜絖(そうこう)、製織中に経糸をそろえておく綾竹(あやだけ)の別名として使われる。
[角山幸洋]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…この組織は一番古く,また布面が平らで,丈夫でもあるから,現在まで最も多くの織物に使われている。経糸と緯糸との交叉したところを組織点というが,この組織点をたどると,布面に斜めの線が表れるのを斜文組織あるいは綾組織(綾)と呼ぶ。組織の最低単位は経糸,緯糸いずれも3本あるいは3越をもってたがいに組織するもので,1越の緯糸が2本の経糸に,あるいは1本の経糸が2越の緯糸にまたがっているのである。…
…また中国周辺にとどまらず,旧ソ連邦オグラクティ,キルギス共和国ダラス郡ドーロのケンコル,シリアのパルミュラなどから発見された漢代の絹織物は,東西交渉史のうえにも貴重な足跡を残している。出土遺品から当代の絹織物の種類をみると,粗密・厚薄のさまざまな平絹,後世の綾の祖型ともいうべき平織地に浮糸で文様を織り出した単色の紋織物である綺,複雑な綟り(もじり)組織の羅,経糸に多色の彩糸を用いて文様を織り出した経錦,輪奈(わな)織に似た起毛錦,鎖繡を主体とした刺繡,さらに彩絵(描絵)や印花(摺絵)などの加飾技法も行われている。文様は前代からあった祭服の十二章(日,月,星辰,山,竜,華虫,作会,宗彝,藻,火,粉米,黼黻)をはじめ,さまざまな動物文,植物文,幾何学文が用いられているが,いずれも象徴的に図様化され,特に錦文や繡文には霊気を感じさせるような力強さがある。…
※「綾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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