大野ヶ原(読み)おおのがはら

日本歴史地名大系 「大野ヶ原」の解説

大野ヶ原
おおのがはら

小屋こやの東部にある高原。総面積七・四平方キロ、標高一一〇〇―一四〇〇メートルに及び、原始林に囲まれた秘境であった。石灰岩台地ドリーネ・鐘乳洞などが発達し、四国カルスト県立自然公園になっている。

伊予温故録」に「大野ケ原 小屋村に在りて一に源氏ケ駄場、又笹ケ峠ともいふ、伊予土佐の国界に接し方数里の高原なり、天正二年久万山大除城主大野直昌と長曾我部元親と合戦の地なり」とあるように、天正二年(一五七四)ささとうげ古戦場と伝えられ、大野ヶ原はここで勇戦した大野一族にちなむ地名という(→上浮穴郡

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大野ヶ原」の意味・わかりやすい解説

大野ヶ原
おおのがはら

愛媛県南西部,西予市野村地区の東端,高知県境の地芳 (じよし) 峠西方にある大規模なカルスト高原。面積 7.40km2,標高 1100~1400m。高知県側の天狗高原とともに日本で最も高い石灰岩の高原。 1964年四国カルスト県立自然公園に指定。ドリーネウバーレポリエカレンフェルトなどのカルスト地形や,鍾乳洞 (→石灰洞 ) がある。羅漢穴は深さ 302mの鍾乳洞。小松ヶ池はドリーネに水がたまったもので,直径 50m,深さ 1.5mあり,世界でも珍しい。かつては秘境で,第2次世界大戦中は軍用馬の放牧場であったが,戦後開拓地となり,大規模な酪農が行なわれた。キャンプ,ハイキング適地,冬はスキーができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大野ヶ原」の意味・わかりやすい解説

大野ヶ原
おおのがはら

四国山地西部、愛媛・高知県境にまたがる石灰岩台地。標高900~1400メートル。四国カルスト県立自然公園に指定されている。秩父中・古生層の石灰岩帯に相当し、南北約2キロメートル、東西5キロメートル、面積7.4平方キロメートルにわたって分布し、石灰岩の厚さは約20~50メートルに達する。カルスト台地南部の源氏ヶ駄馬(げんじがだば)は老年期のカレンフェルト(石塔原)で、北麓(ほくろく)にはドリーネやウバーレが約100個散在し、内部に水をたたえたものもある。第二次世界大戦後開拓農民が入植し、酪農や高地農業を営んでいる。竪穴鍾乳洞(たてあなしょうにゅうどう)には深さ260メートルの竜王洞をはじめ、西寺山洞(にしてらやまどう)、笹ヶ峠洞(ささがとうげどう)などがある。西麓には全長430メートルの横穴の羅漢穴(らかんあな)がある。

[深石一夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「大野ヶ原」の意味・わかりやすい解説

大野ヶ原 (おおのがはら)

愛媛県南部,西予市の旧野村町東部の高原。標高1100~1400mに達する石灰岩からなる隆起準平原で,カレンフェルドやドリーネ,ウバーレなど各種のカルスト地形がみられる。最高点は源氏ヶ駄馬で1403m。第2次世界大戦後,開拓農家が入植,現在県下随一の大規模酪農が営まれている。1964年四国カルスト県立自然公園に指定された。
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