日本大百科全書(ニッポニカ) 「大陸度」の意味・わかりやすい解説
大陸度
たいりくど
大陸性気候の度合いを数量的に表す指数をいう。一般には、海岸からの距離が大陸の内部ほどこの値は大きいが、所によって大陸の影響が異なり、実際にはその土地の気温、降水、気圧などに現れる。気温では日較差・年較差の大きいほど、降水の場合には日変化・年変化の大きいほど大陸度が大きい。大陸度には温度的大陸度と降水的大陸度がある。ドイツのツェンカーW. Zenkerは気温の年較差をその土地の緯度の弧で除した商Aを用い、このAを求めたあと、大陸度nを、次式で得た。
この場合、シベリアのベルホヤンスクの大陸度を100と仮定している。また、ソ連のゴルチンスキーW. Gorczynskiは、気温の年較差を指標として、大陸度nを次式で表した。
ここでは緯度、aは気温の年較差である。この式で大陸度を求めると、ベルホヤンスク100、東京45.7、熊本50.7、松本51.6となる。また、降水的大陸度としてはドイツのガムスH. Gamsが次式で求めた。
ここでωは海洋度角で、大陸度はこの逆数となる。年降水量が少ないほど大陸度が大きい。近年になって、一定地域に襲来する大陸気団と海洋気団の頻度の比をもって大陸度を表すことも用いられている。
[市川正巳]