デジタル大辞泉 「天平の甍」の意味・読み・例文・類語 てんぴょうのいらか〔テンピヤウのいらか〕【天平の甍】 井上靖の長編小説。遣唐使となった僧侶たちの運命を描く歴史小説。昭和32年(1957)刊行。昭和33年(1958)第8回芸術選奨受賞。昭和55年(1980)熊井啓監督により映画化。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
改訂新版 世界大百科事典 「天平の甍」の意味・わかりやすい解説 天平の甍 (てんぴょうのいらか) 井上靖(1907-91)の歴史小説。1957年《中央公論》に連載。同年12月中央公論社より刊行。日本の仏教に戒律をもたらすために,唐の高僧鑑真を招こうとして遣唐船で唐に渡った留学僧たちの物語。出奔して托鉢僧になる者もあり,還俗して唐の女と結婚する者もいたが,結局一見平凡に見えた普照が鑑真を伴い,嵐をついて日本にたどりつく。一行の業行が永年にわたって写経した経巻を嵐のために海に投ずる場面は感動的である。自然や時間と戦う人間の運命相を描くと同時に,叙事的文体を現代に生かして,歴史小説の独自のスタイルを完成した。文化史的小説としての意味も大きい。執筆者:福田 宏年 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by
日本大百科全書(ニッポニカ) 「天平の甍」の意味・わかりやすい解説 天平の甍てんぴょうのいらか 井上靖(やすし)の長編小説。1957年(昭和32)3~8月『中央公論』に連載、同年中央公論社刊。奈良時代、日本に仏教の戒律をもたらすために、4人の留学僧が遣唐船で渡唐し、高僧鑑真(がんじん)を苦心のすえに日本に招いてくる経緯を描いた歴史小説。写経僧業行が20年かかって写した膨大な経巻を帰路暴風のため海中に投ずるくだりはもっとも印象的である。長編歴史小説第一作であり、文化史小説的性格をもつ。内面描写を拒否した井上の歴史小説の叙事的スタイルはこの作品で確立された。芸術選奨受賞。[福田宏年]『『天平の甍』(新潮文庫)』 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天平の甍」の意味・わかりやすい解説 天平の甍てんぴょうのいらか 井上靖の長編小説。 1957年刊。日本律宗の祖鑑真 (がんじん) の来朝という古代史の事実を,彼を招くために海を渡った5人の留学僧を配して描く。近代歴史小説の新しい可能性を示唆した作品。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by
デジタル大辞泉プラス 「天平の甍」の解説 天平の甍(いらか) 1980年公開の日本映画。監督:熊井啓、原作:井上靖による同名の歴史小説、脚本:依田義賢。出演:中村嘉葎雄、大門正明、浜田光夫、草野大悟、田村高廣、井川比佐志ほか。 出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報 Sponserd by