天球の回転について(読み)てんきゅうのかいてんについて

  • てんきゅうのかいてんについて テンキウのクヮイテンについて
  • 天球の回転について De revolutionibus orbium caelestium

世界大百科事典 第2版の解説

ポーランドの天文学者N.コペルニクス著書で,1543年にニュルンベルクで刊行されたが,本書の主要部分は1530年ころに完成されていたものとされ,また,それ以前にコペルニクスは《要綱Commentariolus》を書いて友人らに配っている。本書の見本刷りはフラウエンブルク臨終の床にあったコペルニクスに届けられたと報じられている。本書はアリストテレスプトレマイオスの地球中心の宇宙体系(天動説)に対し,太陽中心の宇宙体系(地動説)を述べて,近代天文学,いや近代科学発端を画した書である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コペルニクスの主著。近代地動説の原典とされる。原著名はDe revolutionibus orbium coelestium。1543年刊。フラウエンブルク聖堂参事会員コペルニクスは、北イタリア遊学以来の着想を小冊子『概要』に記して知友に回覧するとともに、さらに天体観測を重ねて1530年ごろ本格的な著述に入り、本書をまとめた。しかし異端のとがめをおもんぱかって、その公刊をためらった。ところがギーゼ司教の推賞とレティクスの懇請を受け入れて、出版を決心した。出版はレティクスの斡旋(あっせん)によってニュルンベルクのグーテンベルク印刷所で行われた。

 本書は全六巻からなり、内容は以下のとおりである。第一巻は地球が球形で自転・公転・歳差という3種の運動をすること、および球面三角形の定理。第二巻は天球座標と時間の決定、球面天文学の基礎。第三巻は春分点の歳差、太陽の不等速運行などの起因が地球の運動にあること。第四巻は日・月食が月の公転によることの理論づけ、諸天体の大きさや距離の比較。第五巻は諸惑星の視運動を空間内の公転によって説明し、各惑星の軌道半径を比較。第六巻は惑星の黄緯変化による軌道傾斜の決定。

 この書の第一冊は著者の臨終の床に届けられた。教皇庁はこの書を単なる天体位置の計算書とみなしたが、ガリレイ裁判の際、改めて禁書目録に登録した。

[島村福太郎]

『矢島祐利訳『天体の回転について』(岩波文庫)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

(原題De revolutionibus orbium caelestium) 天文学書。コペルニクス著。一五四三年刊。草稿は一五〇六~三二年に成立。古代ギリシアのアリストテレスやプトレマイオス以来の地球中心の宇宙観(天動説)に対し太陽中心の地動説を記述し、近代科学への道を開いた。

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世界大百科事典内の天球の回転についての言及

【コペルニクス】より

…ポーランドに帰ってからは終生教会領の管理職をつとめた。コペルニクスはみずからの太陽中心説天文学を《要綱》のかたちで述べて,知人のあいだに流布させていたが,天文学体系として十全に展開したのは,印刷された初版が彼の死の床にもたらされたといわれる《天球の回転について》(1543)である。地動説的な考えを述べた人は,スコラ学者の中にもいくらでもいるが,コペルニクスのこの著は,プトレマイオスの天動説天文学体系に対置される大部な地動説天文学体系を示したことで,そしてさらに,当時さかんになりかけていた印刷メディアに乗ることによって,やがて革命的な影響力をもつにいたる。…

【数学】より

…M.ルターが宗教改革を開始したのは1517年であった。43年は,N.コペルニクスの《天球の回転について》とA.ベサリウスの《人体の構造》が発表された年である。それぞれ近代的な天文学,解剖学の出発点となったものであるが,数学に関係するのはとくに前者である。…

【天文学】より


[近世]
 コペルニクスが〈地動説〉を唱えたことは,天文学ばかりでなく一般の学問に大きな変革をもたらし,これまで絶対の真理として考えられていたギリシアの学問に根本的な反省を与えることになった。彼の大著《天球の回転について》は1543年(彼の死の直前)に出版された。彼は,太陽を宇宙の中心におく点ではまったく革新的ではあるが,天体の運動を説明するさいには,やはりプトレマイオスと同じように円運動の組合せを考えており,多くの点で従来の思考方法をそのままに残している。…

※「天球の回転について」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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