デジタル大辞泉
「奪う」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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うば・ううばふ【奪・褫】
- 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 平安時代には「むばふ」とも表記された )
- ① 他人の所有物を無理やりに取り上げる。奪いとる。
- (イ) 力ずくで人の物を自分の物にする。強奪する。よこどりする。
- [初出の実例]「謂(をも)ふに当に国を奪(ウハハ)むとする志有りてか」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
- 「ばくち、京わらはべ、くるまむばひたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
- (ロ) 権力によって、地位、仕事、財産などを取り上げる。剥奪(はくだつ)する。没収する。
- [初出の実例]「道隆公に悪まれて罪も無きに官祿を褫はれ困辱を極めたりしに」(出典:小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉五)
- (ハ) 君主を除き、代わってその地位につく。簒奪(さんだつ)する。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
- [初出の実例]「大王の宣位を簒(ムハヒ)奪(ムハ)はんとするなり」(出典:守護国界主陀羅尼経平安中期点(1000頃)一〇)
- (ニ) ひそかに自分の物にする。盗みとる。かすめとる。
- [初出の実例]「我を思ひへだてて、吾子(あこ)の御けさう人をうばはむとし給ひける。おほけなく心をさなきこと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
- (ホ) そうでないものが本来のもののように見えたり、本来のものを乱したりする。
- [初出の実例]「雪の色を有婆比(ウバヒ)て咲ける梅の花今盛りなり見む人もがも」(出典:万葉集(8C後)五・八五〇)
- (ヘ) ( 男女関係で ) 肉体をおかす。
- [初出の実例]「今迄自分を奪ったものは甲谷だとばかり思ってゐたのに」(出典:上海(1928‐31)〈横光利一〉五)
- ② ( 「志を奪う」などの形で ) 人の気持などを無理に変えさせる。
- [初出の実例]「我は兄王(いろねのきみ)の志を奪(うばふ)可からざることを知れり」(出典:日本書紀(720)仁徳即位前)
- ③ 取ってなくす。取り去る。
- [初出の実例]「彼に苦しみをあたへ、命をうばはん事、いかでかいたましからざらん」(出典:徒然草(1331頃)一二八)
- ④ 心や目を引き付ける。ふつうは、受身の助動詞を伴って用いられる。
- [初出の実例]「世にしたがへば、心、外の塵にうばはれてまどひやすく」(出典:徒然草(1331頃)七五)
- 「長途のくるしみ、身心つかれ、且は風景に魂うばはれ」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)須賀川)
奪うの補助注記
「文明本節用集」に「奪 バウ ウバウ」と併記されているように、中古から近世にかけて「ばふ」という語形もあった。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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